<J2第19節 北海道コンサドーレ札幌2-2FC今治>
明治安田J2リーグ第19節、北海道コンサドーレ札幌(12位)は6月15日(日)、大和ハウスプレミストドーム(札幌市豊平区)で、公式戦初めての顔合わせとなるFC今治(9位)と対戦しました。
シーズン折り返しとなるこの試合、岩政大樹監督(43)は今月新たに加入したDF宮大樹選手(29)とDF浦上仁騎選手(28)をセンターバックとしてスタメン起用します。また、これまでDFラインでの起用が続いていたMF高嶺朋樹選手(27・札幌市出身)を6試合ぶりに本職のボランチに配置。8試合ぶりのスタメン出場となるMF宮澤裕樹選手(34・伊達市出身)とコンビを組みます。
前半34分、DF浦上選手のビルドアップからMF高嶺選手が反転し、中央突破。これが起点となり、DF高尾瑠選手(28)のクロスをFWジョルディ・サンチェス選手が頭で合わせ、ゴールネットを揺らしますが、オフサイドの判定でノーゴールに。
流れを渡したくないコンサドーレでしたが、直後の前半36分、今治のFWマルクス・ヴィニシウス選手(27)からバイタルエリアでボールを受けたMFパトリッキ・ヴェロン選手(20)が、ペナルティエリア外からビューティフルゴール。警戒していた今治の強力なブラジル出身アタッカーへのプレッシングが効かず、0-1でゲームを折り返します。
エンドが変わった後半、「多くのサポーターがいる方向へ攻撃するというのは、やはり心強いものがあった」。この試合がコンサドーレの一員としてのプレミストドームデビュー戦となるDF宮選手がそう話すように、ホームサポーターが赤黒に染めあげたゴール裏へ攻めるコンサドーレが、攻勢を強めます。
後半12分、MF近藤友喜選手(24)が右サイドからカットインすると、ペナルティエリア内で倒されPKを獲得。「友喜から自分に、ということだったので」。キッカーを託されたのは、キャプテンの高嶺選手。ゴール右隅を狙ったシュートは相手GKに阻まれたものの、はね返りをすかさず蹴りこみ、今シーズン初得点。コンサドーレが同点に追いつきます。
さらに後半24分、またも右サイドでボールを受けたMF近藤選手のリターンパスを、MF高嶺選手がペナルティエリア外から躊躇せず左足を振り抜き、逆転ゴール。2021年にあげたプロ初得点(J1第31節vsガンバ大阪)を彷彿させる相手GKに反応すら許さないミドルシュートで、自身キャリア初となる1試合2ゴールを記録しました。
MF高嶺朋樹「これがチームの勝利に繋がれば…」
シナリオは完璧でした。ヨーロッパからJ2へ、異例と言える古巣の地元クラブへの復帰を決意し、ここまでチーム事情により本職ではないDFラインでの出場を続けたMF高嶺選手。DF宮選手とDF浦上選手の加入、そしてDFパク・ミンギュ選手(29)の負傷からの復帰によって、「自分の特徴を出しやすいポジション」という本職のボランチでプレーし、ボール奪取・ドリブルの推進力・ミドルシュートと、水を得た魚のように、その持ち味を発揮してみせたキャプテンの得点で、劇的な勝利を掴むと思われました。しかし、筋書き通りにはいかず。
後半アディショナルタイムに不用意なバックパスを奪われ、痛恨の失点。低迷するチームを象徴するように、あと一歩のところで勝ち点2を失う負けに等しい2-2のドローで終了しました。コンサドーレは19試合6勝4分9敗、勝ち点22の13位でシーズン前半戦を終了。試合後、選手たちは唇を噛みしめながら課題を口にしました。
◆MF宮澤裕樹選手「”こういうゲームを勝っていくことで”という試合で取りこぼしてしまった。ホームで何とか目の前の勝ち点3を必死にとっていくことで、また次に向かえると思いますが…きょうは残念でした」
◆DF宮大樹選手「特に気になったのはゲームクローズのところ。リードしている展開のところで、相手が何をされたら嫌なのか。自分たちがどういう立ち位置で守るのか、ボールを保持するのか。上位に行くために必要なこと」
◆DF浦上仁騎選手「チーム全員で”当事者”にならないといけない。誰か一人のせいにしてはいけない。この順位で(観客が)1万人を超えるのは、当り前じゃない。だからこそ、僕たちは結果で必ず返したい」
J2は次節から後半戦に突入。「ホームで全勝するくらいじゃないと、昇格は遠くなってしまう。必ず勝っていきたい」と高嶺選手が話したように、コンサドーレにとっては、残り19試合のうち11試合がホームゲーム。これをメリットにできるか、ホームでの強さがチームの命運を握るカギとなります。