福井駅の南に位置する福井市の東公園に、スポーツ観戦やコンサートができる「福井アリーナ」の建設構想が持ち上がっています。この建設費が現時点の見込み額の最大1.5倍に当たる160億円程度となる見通しになりました。計画の中心的立場にある福井商工会議所は13日、この新たな試算を県や市に報告し財政支援を要請しました。建設費の上振れは2度目です。
13日は福井県庁で、アリーナ構想の中心人物である福井商工会議所の八木誠一郎会頭と県都みらい創造委員会の梅田憲一委員長が、杉本知事と面談しました。
福井商工会議所・八木誠一郎会頭:
「設計の見直しなど様々な工夫を踏まえたとしても、物価上昇分も含めて整備費の総額は150億円程度、最大で160億円程度を見込んでいます」
八木会頭が切り出したのは、福井アリーナの整備費が現時点の見込み額、105億円から最大160億円にまで膨らむことでした。
整備費の引き上げは今回で2度目で、計画当初の75億円からは実に2倍になる計算です。
八木会頭が知事を訪問した最大の目的は、県と福井市の財政支援です。福井商工会議所が示した最大55億円の増額分の資金調達は▼県の仲介による無利子の融資35億円▼石破政権で新たに創設された交付金の10億円をそれぞれ確保するという内容です。ただ、これだけでは10億円が不足することになります。
八木会頭は「残りの10億円は何とか切り詰めようと思う」としました。地元企業など民間が負担する55億円については最初から増額しないとしています。また、整備費をぎりぎりまで削減するために、より簡素なデザインに変更するということです。
経済界のトップからの要請に杉本知事は-
「これを目標に我々も枠組みを作っていくことができると思っている。行政が持たない公共施設、公を行政だけが担うのではないことを、民として見せてもらえる。これができたら全国でモデルケースになる」と要望に前向きな姿勢を見せました。
そもそも「福井アリーナ構想」は、2022年夏に県と福井市、福井商工会議所が策定した「県都グランドデザイン」に盛り込まれたのが始まりでした。席数は約5000席で、プロバスケットボールの試合やコンサートなど、さまざまなイベントで多くの集客を見込み、県都に新たなにぎわいをもたらす施設と位置づけられました。
しかし、構想が浮上した段階から建設資材の高騰などに直面し、整備費は当初の75億円から2024年2月に105億円、そして今回、最大160億円程度に引き上げられる見通しになりました。整備費が固まらない中では収支面の見通しも立てられず、完成時期は最初に示された2026年秋から27年秋、そして今回28年秋と2年間も遅れることになりました。
知事との面談を終えた八木会頭はー
「物価上昇分も含めて最大で160億円という数字が出てきたので、我々としては少しでも切り詰めていきたいと考えている。バスケリーグに間に合うよう2028年秋には完成させたい」
福井商工会議所は福井アリーナについて、最大55億円の整備費の増加を見込んだ詳しい計画を8月までに公表するとしています。