大阪・関西万博のパビリオン建設を巡り、相次いでいる工事費用の未払い。
「被害者の会」が13日夕方、会見を開きました。
関西テレビは未払いを指摘されている業者の社長に直撃。一体なぜ、支払いができなかったのでしょうか。
会見を開いたのは海外パビリオンの建設工事を担当する業者の人たちです。
【海外パビリオンの建設担当業者】「国のプロジェクトと信じてやって我々やってきたのですが何の支援策もなくずっと放置された状態で、金策も間に合わないという状況でいち早く救済措置を受けたい」
次々と明らかになる工事費用の未払い下請け業者に工事費用が支払われていない問題。
マルタパビリオンでは元請けの外資系イベント会社からの未払いを受け、提訴する事態に。
また、中国パビリオンでは1億円以上の未払いが発覚しています。
■「未払い問題」は休館続くアンゴラパビリオンでも
さらに「未払い問題」は開幕直後から休館が続くアンゴラパビリオンでも。
【4次下請けAさん】「お支払いは全然問題なくできますよという話を受けていたので。いざふた開けてみたら入金がないというところで、どういうこと」
こう話すのはアンゴラパビリオンを担当する建設業者のAさん。
■未払いの総額はおよそ4300万円。X社の社長とは連絡がとれない状態が続いたという
Aさんによるとアンゴラから工事の発注を請けたのは外資系企業。
その下に1次から5次下請けまで、業者が工事を請け負う形になっていました。
Aさんの会社は、4次の下請けとして、ことし2月から工事に入りましたが、3次下請け業者のX社からの支払いがストップしたのです。
【4次下請けAさん】「朝も昼も一生懸命働いてた人間がなんでこんな裏切られ方をしないといけないのか。怒りと絶望」
未払いの総額はおよそ4300万円。X社の社長とは連絡がとれない状態が続きました。
■X社社長を直撃すると…「横領されているんじゃないか」
一体なぜ、X社は支払いできないのか。
11日、「真実を話したい」と取材に応じた社長。X社のなかで深刻な事態が起きていたことを明かしました。
【3次下請け「X社」社長】「許可していないお金が振り込まれている形跡が多々あるので実質は横領されているんじゃないか」
社長によると、X社ではB氏が経理を担当していますが、B氏が代表を務める別の会社に不審な送金が繰り返されていたというのです。
■X社の銀行口座の通帳のコピーには、万博工事振り込み同日に別の会社の送金が
これはX社の銀行口座の通帳のコピー。万博の工事費として3000万円が振り込まれた同じ日に1000万円が別の会社に送金されています。
(Q:本来はこの会社にいくお金ではない?)
【3次下請け「X社」社長】「この時期はないですよね。まったくない。振り込んでくれと依頼した記憶ない」
(Q:ちゃんと口座にお金入っていたら未払いは起きていない?)
【3次下請け「X社」社長】「現状アンゴラさんの未払いで残っているのってちょうど1億なんです。全部の額で行くと1億円ぐらいになっているので、それがあればお支払いができていた」
不審な送金はあわせて1億円にものぼるとみられ、それがなければ下請け業者に工事費用を支払うことができたというのです。
■X社の先月2日の口座残高はわずか3万7000円
X社の先月2日の口座残高はわずか3万7000円。社長はいますぐ返金することは難しいと話します。
【3次下請け「X社」社長】「お支払いできていないので申し訳ないという気持ちではあるけど、実際は『お待ちください』としか。お金があるのであればすぐお支払いしたいけど、現状お金がない状態なので。気持ち的には裏切られているという気持ちはあるが、こんなんなるまで放置しすぎたのは自分の落ち度ではありますけど。ちょっとぬかりすぎたな…」
関西テレビはB氏に事実関係を確認しようとしましたが、いまのところ回答は得られていません。
X社の社長は今後、経理担当だったB氏を横領罪で刑事告訴するとしています。
■「流用していたとしたら横領が成立、刑事事件になり得る」
私たち関西テレビが取材した建設会社の社長は、「経理担当が不審な送金をしていなければ、未払いは起きていなかった」と話しています。
【亀井正貴弁護士】「もともと工事の支払いは出来高でやるから後払いになるということと、1次、2次、3次となっていますから、途中で止まってしまって支払財源がなくなるというのが、基本的に大きな問題で、こういうケースがかなり多いですね」
経理担当に渡ったのではないかということですが、例えば経理担当が流用していたとしたら、どうなるのでしょうか。
【亀井正貴弁護士】「もちろん流用していたとしたら横領が成立しますから、刑事事件になり得ますし、さらに損害賠償請求も可能だということですね。下に対する支払い財源があるかないかに尽きるので、もし外に流れたとしたら、そこから回収できる資産をまだ持っているかどうかというのが重要なポイントです」
■「建設業者同士のトラブルは民間同士のトラブル 補償は考えにくい」
【関西テレビ 神崎博報道デスク】「国家プロジェクトで、業者の皆さんは何とか成功させたい思いで、工事してくれたと思うんですけど、開催国はちゃんとお金を元請けに払っていて、途中の建設業者同士の間のトラブルは民間同士のトラブルなので、例えば協会が代わりに保証するとかはなかなか難しいですし、もし補償するにしても、税金になるかもしれないので、ちょっと考えにくいと思います」
被害者の会の方々からは「国のプロジェクトだから手を挙げたんだ、信じてやってきたんだ」という悲痛な声が上がっています。大変残念な問題です。
(関西テレビ「newsランナー」2025年6月13日放送)