「現金給付か消費税減税か」ーー暮らしを直撃している物価高の対策をめぐり与野党が対立しています。さらに、野党による内閣不信任案提出の行方や衆参ダブル選の可能性について、永田町取材で定評があるジャーナリストの鈴木哲夫さんが独自取材をもとに解説します。
■現金給付か消費税減税か
川崎健太キャスター:
物価高対策をめぐっては、自民・公明の与党が国民1人当たり数万円の現金の給付という案を、一方の野党はばらつきありますけれども、消費税の減税もしくは廃止を主張していて、立憲民主党の野田佳彦代表は「減税が食費の高騰で困っている人を助ける唯一の道だ」と強調しました。最終的には財源の話にはなると思うのですが、今後どうなるんでしょうか。
鈴木哲夫さん:
まず政権側から言うと、石破首相は3月から4月ぐらいに消費税の減税というのが頭の中にあったと思うんです、僕の取材では。だから「やるかな」と思っていたら「現金給付をやる」と言った。そしたら世論が「いやいやバラマキじゃないか」「そんなことやったって、意味があるのか」と。で、「じゃあやめる」となった。で、またここへ来て出てきた。もうブレブレなんですよね。背景に何があるかっていうと、財政再建派の議員、 例えば自民党の森山幹事長とかはとにかく消費税を下げたくないんです。これ1回下げるとまた戻すの大変だし そこを触りたくない。だからそれはやりたくない。じゃあその代わりに何かやらないと選挙は大変だから、現金給付という案を持ってたわけですよね。
で、今回は財務省との関係もあって、これはある幹部が言ってたんですけど、備蓄米が随意契約で安くなったじゃないですか。あれは実はもう国の財産だから、備蓄米のことで財務省が今回けっこう努力して協力している面があるわけなんです。
川崎健太キャスター:
財務省としては貸しがあるわけですね。
鈴木哲夫さん:
そう、だからもう「この消費税のところだけは触らないでくれ」という駆け引きがあるんじゃないかとある自民党の幹部が言っていました。でもそういう中で、結果的に自民党がぶれてるように見えちゃうので、これはプラスになるかマイナスなるか、非常に難しいところですね。
■内閣不信任案 立憲・野田代表に電話してみたら
川崎健太キャスター:
夏の選挙に向けた動きとして、もし立憲民主党の野田佳彦代表が内閣不信任案を提出し、野党が結束して可決されたとして、そして衆院解散となれば、約40年ぶりの衆参ダブル選挙になるわけですが、本当にダブル選になるんでしょうか。
鈴木哲夫さん:
ここ何日かいろんな報道が出てますけど、 不信任を出す側の野田代表やそれを受ける石破首相が「こうだよ」とはっきり言っているわけじゃないんですよ。周りがいろんなこと言ってて、それが記事になってる感じがあるので冷静に見たほうがいい。僕は野田さんに直接週末電話しました。
で、「はいはい」って電話に出て、「どうするんだ?」と聞いたら、「ニュートラルだ」と言いました。 要するに「まだ考えてます」ってことですよね。きのう(11日)の夜、実は立憲が幹部会を開いてるんですね。 ここでも「内閣不信任案を出すべき、いや、出さない方がいい」と半々でした。だから僕は状況を見ながら、 野田さんはサミットが終わった後ぐらいに決断をするんだろうなと思いますね。
川崎健太キャスター:
1週間後になってみないとわからないと。
鈴木哲夫さん:
ただ、今回の内閣不信任案は通る可能性がありますから、ダブル選挙とかも全部背負って野田さんがどう判断するか、カードは今、野田さんが持ってると、こんな感じだと思いますね。
(2025年6月12日放送「報道ワイド 記者のチカラ」より)