袋井市に住む男子高校生に暴行を加えてケガをさせた上、車のトランク内に監禁し、浜名湖に投げ捨て溺死させた罪に問われている22歳の男の裁判員裁判で、検察側は懲役18年を求刑しました。

傷害・監禁・殺人の罪で起訴されているのは浜松市に住む無職の男(22)です。

男は2024年2月、当時18歳だった男と共に袋井市に住む男子高校生(当時18)に暴行を加えてケガをさせた上、車のトランク内に監禁し、浜名湖に投げ捨て溺死させた罪に問われています。

6月9日の公判で、検察側は被害者の額や目が大きく腫れ、顔は血だらけになるなど、多数回にわたる強い暴行と指摘した上で、途中から昏睡に近い状態で抵抗もガードもできなくなった状態でも手を緩めず、2人がかりで一方的に激しい暴行を執拗に加えるなど「態様は極めて悪質」と主張しました。

また、外気温が冷蔵庫並みの約6.6℃、水温も約11.7℃という環境下で湖に転落させる行為は命を確実に奪う行為であり「非常に残酷」とも述べています。

今回の事件は知人宅で男子高校生を含む8人で酒を飲んでいた際、男子高校生が年上である共犯の男に敬語を使わずに話しかけ、注意されたにも関わらず、その後も“タメ口”で話し続けたことがきっかけとなっていて、検察は男が共犯の男の怒りに同調し、制裁を加えるため激しい暴行に及んだ末に自分たちの行為を隠すために監禁したほか、証拠隠滅として口封じのため殺害に至るなど、「あまりに短絡的で命の尊厳を著しく軽んじた無慈悲かつ身勝手な動機で酌量すべき点は一切ない」と非難しました。

その上で、「一連の犯罪を起こさないための行動を取れるタイミングは何度もあり、自らの行為がどのような結果につながるのかわかっていた。各犯行に及んだ意思決定は強い非難に値する」として懲役18年を求刑しています。

これに対し、弁護側は「自ら進んで暴行を初めておらず、被害者のケガのほとんどは共犯の男による暴行が直接的な原因。監禁も知らない間に決まっていた。共犯の男を止める行動に出るなど、最後の一線を超えないようにしていて、積極的・意欲的に死亡の結果を望んでいたわけではない」などと訴え、「男には強固で積極的な殺意はなく、計画的な犯行でもない。殺意のグラデーションの中では最も淡い」として懲役8年が妥当と主張しました。

判決は6月13日に言い渡されます。

テレビ静岡
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