卓球の世界選手権・混合ダブルスで銀メダルを獲得した大藤沙月選手が30日、ふるさとに凱旋した。「期待の星」の活躍に地元は歓喜。大藤選手を3歳の頃から知っているという人に、幼い頃の様子を聞いた。
「大舞台で戦えたことが宝物」
21歳の大藤沙月選手にとって初の世界選手権。吉村真晴選手との「大吉ペア」で臨んだ混合ダブルスは快進撃を見せ、決勝はパリオリンピック金メダリストで前回の世界選手権の覇者を相手に、一歩も引かなかった。敗れて悔しさは残ったものの、自身初の世界選手権で銀メダルを獲得。「実績のある選手と組ませてもらえて大舞台で戦えたことが宝物」と語っていた。
銀メダル「嬉しいと悔しいどちらも」
銀メダル獲得から1週間－
大藤選手の姿は、地元・福井にあった。笑顔で県庁を訪れ、その胸元には銀メダルが輝いていた。
杉本知事に初の世界選手権の感想を問われるとー
大藤沙月選手：
「嬉しい気持ちと悔しい気持ちのどちらもあって。女子ダブルスでは世界ランク1位として臨んで金メダルを目指していたのですけど、メダルを逃してしまったのはすごく悔しかったです。でも、まさかミックスダブルスでメダルが取れるとは思っていなかったので、驚きの気持ちと嬉しい気持ち、どちらもあります」
喜びと悔しさが入り混じる結果となった初の世界選手権。大藤選手は、さらに上を目指す気持ちが強くなったと話した。その中で「オリンピック」という言葉も飛び出した。
「2028年のオリンピックに出たいという気持ちが本当に強くなって。ダブルス、ミックスダブルス、混合団体といろんなことに挑戦しながらオリンピックを目指したいです」
正月以来、約半年ぶりに地元に帰ったという大藤選手に、杉本知事からはこんな質問も。
杉本知事：
「福井に帰ってきて何が食べたいですか？」
大藤選手：
「秋吉の串カツと、大野のとんちゃん（大野名物のホルモン）が食べたいです」
地元の話になると笑顔がこぼれる大藤選手。最後のインタビューでも「小さいときに強くしてもらった故郷なので、もっと活躍して卓球をしている子供たちに勇気を与えられるように頑張りたい」と思いを語った。
「さっちゃん」はショッピングセンターでお昼寝も…
大藤選手が生まれ育った大野市では、世界選手権の際「家中で大騒ぎをしていました」という市民も。「期待の星ですね」「オリンピックでメダルをとってくれるとともっと盛り上がるかな」と今後の活躍に期待する声も聞かれた。
取材を続けていると、大藤選手は幼い頃、大野市のショッピングセンター「VIO」によく通っていたという情報を入手。そこで取材班は、さっそく現地に向かった。
大野市民“御用達”のショッピングセンターVIOで出会ったのは、飲食店「ファイン」の長谷川順子さん。「大藤さんは小さい頃からお母さんと一緒によくVIOに来ていたんですよ。前は近くにおもちゃ屋さんがあって、バックヤードでお昼寝していたこともあります」と当時の様子を語ってくれた。「よちよち歩きの頃から来ていた子がどんどん有名になってね…お母さんもよく来てくれるので、さっちゃんの様子を聞いたり、成績が出ると『すごかったねー』ってラインでやり取りしています」
店内には、大藤選手のサインや写真が飾られていた。世界選手権の際は「テレビにかじり付きでしたよ。普通の子だったけど、努力して有名になって本当に嬉しい。親みたいな気持ち。いつも新聞やをテレビ楽しみに、ネットでも検索している」と笑顔を見せた。
久しぶりに地元に凱旋していることを伝えると「寄ってくれないかなー」と期待する長谷川さんだった。
「プレーで子供たちに勇気を」
メダルを胸にした大藤選手が大野市役所に到着すると、“地元スター”をひと目見ようと多くの市民や職員が集まった。
石山市長に「地元にメダルを持って帰って来ることができて本当に嬉しい」と報告。「3歳から18年間続けてきて、勝つ時も負ける時もあるけど、自分のプレーで勇気を与えられるようにこれからも頑張りたい」と今後への意気込みも語った。
報告会には大藤選手が子供の頃に所属していた卓球クラブの後輩たちも同席し、質問に答える場面も。
卓球クラブの後輩：
「卓球をしていてモチベーションが下がった時はどうしますか？」
大藤選手：
「モチベーションが下がることはないけど、リフレッシュ方法はあって、夜に1人で散歩することです」
石山市長には「大野の魅力」について聞かれると「こんなに緑が多かったのかと改めて感じて、久しぶりに空気が美味しいなと思いました」と答えた。
スターの凱旋に沸いた地元。地域や子供たちに活力を与える今後の活躍も期待されている。
