琵琶湖から京都に水を運び、桜や紅葉の名所としても知られている「琵琶湖疏水」。

この水路の一部が、近代の土木構造物として初めて国宝に指定されることが先ほど決まりました。

【京都市 松井孝治市長】「国の文化審議会において、琵琶湖疏水の5カ所が国宝に指定されます」

「ごらんください。綺麗でしょう」

琵琶湖から京都市までのおよそ30キロにわたり水を運ぶ「琵琶湖疏水」。
明治時代に造られたこの水路の一部などが、新しく国宝に指定されます。

まずは、こちら。
何やら、橋の上を水が流れていますが…これは京都市の南禅寺にあるアーチ状の水路橋、「南禅寺水路閣」。
西洋の建築様式を取り入れていて、今や人気のフォトスポットになっています。

そして、こちらは舟を引き上げる為にできた鉄道跡・蹴上インクライン。
現在は使われていませんが、春には桜の名所として多くの人が訪れます。

そもそも「琵琶湖疏水」ができたのは、およそ130年前の明治時代。

重要な土木工事の多くが外国人技師に任されていた中、設計から施工まで日本人の手で行われた、日本初の大土木事業でした。

観光客たちを舟で運ぶだけでなく、京都市民が使うための「水道」としての役割も果たす琵琶湖疏水。

”現役”のインフラ設備として文化的な意義が評価され、近代の土木構造物として国宝に指定されるのは初めてです。

【京都市 松井孝治市長】「先人の努力の結果、京都の産業発展、そして文化的発展の礎を作ったのが琵琶湖疏水に関する様々な施設だということを、より幅広い方々に知っていただきたい」

早ければことしの夏ごろに国宝に指定されるということです。

京都大学の藤井教授は明治維新の遷都で衰退しかけた京都を救ったのが「琵琶湖疎水」だと言います。

【京都大学大学院 藤井聡教授】「この琵琶湖疎水は、我々の京都大学の最初の田辺朔朗教授の卒業論文が、実現したものです。当時としては最先端の技術でした。京都大学土木工学教室の誇りとなる、土木遺産です」

「当時、明治維新があって、都が京都から東京に移って、京都が衰退しかけた・・まさにその時に京都を支えた、今の京都の礎をつくったものです。大変嬉しいことです」

(関西テレビ「newsランナー」2025年5月16日放送

関西テレビ
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