コメ価格の高止まりが続く中、政府は新たな対策を打ち出しました。

スーパーや米屋向けに備蓄米を優先的に販売するための入札枠を設けます。

江藤農水相:
消費者の方々のご期待されるような価格、そして、スピード感で出せるようになることを是非期待しております。…タイムギャップは相当縮小される、スピーディになるということは当然です。

新たな対策では、備蓄米入札で1カ月程度での販売を前提にスーパー向けに4万トン、小規模な米屋向けに2万トンとする優先枠を設けるほか、2025年に収穫されるコメは、備蓄米としての買い入れを当面行わず、店頭での販売量増加につなげたい考えです。

備蓄米を落札した業者には、原則「1年以内」に買い戻しに応じる条件をつけていますが、期限を「5年以内」に延長して、より多くの業者が入札に参加しやすくし、放出量はこれまでの約31万トンに加え、5月以降7月まで毎月10万トンとします。

販売価格が前の年の2倍を超える水準に高止まりする中、供給量を増やし、価格の抑制につなげられるかが焦点となります。

これで米は安くなるのでしょうか、米の流通に詳しい宇都宮大学の松平尚也さんと見ていきます。

青井実キャスター:
大臣はスピーディーになるとおっしゃっていましたが、松平さんはスピーディーになると思いますか?

宇都宮大学・松平尚也さん:
今回の見直し、放出ルール大きな変更になっていまして、今までの分と合わせて61万トンの放出になって、出回れば不足を十分に補える量であります。さらに小売り優先枠を設けましたので、早く出回ることも可能ではないかと思います。

青井実キャスター:
江藤大臣は16日、今回の優先枠の一部は卸売業者を通さずに取引できるまで、コスト・流通経費・業者の利益の部分がないため価格も下がるだろうと話していたわけですが。

遠藤玲子キャスター:
今までも何回も価格が下がるというふうに私たち言われてきていて、松平さん、本当に今回安くなるんでしょうか?

宇都宮大学・松平尚也さん:
小売価格に反映するまでは、やはりタイムラグがあるということはあるんです。今回、買い戻す期限を原則1年以内から原則5年以内に延長したということで、集荷業者が参入しやすくなって、実はこれが参入のネックになってきたんですよね。そういった意味でも、全体の流通が円滑化する見直しだと思います。

そして14日の発言ですが、備蓄米の倉庫を視察しました自民党の小野寺政調会長の発言で、ある問題を指摘していました。

自民・小野寺政調会長(14日):
実は備蓄米を仕入れるときの価格というのは、1万1000円~2000円くらいで政府は備蓄米を買い上げている。ですが、今回その落札が、実は2万2000円以上。むしろ米が高く販売されているということですので、私個人から見ると、国がもうけてどうするんだと。

青井実キャスター:
政府が農家から買い上げた価格と業者に売り渡す価格に1万円ほどの差があることについて、「国がもうけてどうするんだ」と指摘していたわけですが、この辺り、中村さんどうですか?

SPキャスター・中村竜太郎氏:
発言を聞いていて、今更それを言ってどうするのかという感じがするんですよね。おっしゃったように農水省は「米不足はないですよ」とか、ちょっと前までは政府は備蓄米放出しないと言っていたわけですが、今の発言を取ってみると、何か人ごと感を感じてしまうというか。あとやっぱり消費者としては、とにかく米の価格を下げてほしい、それに尽きるわけですから、やれることをやってほしいですね。

青井実キャスター:
そういう意味では松平さん、なぜ国がもうかってしまう状況になっているんでしょうか。

宇都宮大学・松平尚也さん:
一般競争入札なので仕方ない側面もあるんですが、固定価格での放出も可能ではあると思います。ただ、今後の買い戻しの際や備蓄米の仕入れ値も上がっていますので、そうしたところに今回の利ざや分を当てていく可能性も考えられますね。

青井実キャスター:
競争が激しくなって、反対に備蓄米の落札価格が高騰してしまう可能性も考えられるんでしょうか?

宇都宮大学・松平尚也さん:
それはあまり考えられないですね。入札参加の条件はまだ発表されていないんですが、条件は残っていくと思いますので、参加する業者が卸や小売りまで増えると、これは価格の上昇の材料になっちゃうと思いますが、そういった条件の緩和はないのかなと思います。

青井実キャスター:
どれくらい安くなるのか、いつから安くなるのか、見立てはどうでしょうか?

宇都宮大学・松平尚也さん:
先週から備蓄米の出回りが小売価格にも反映してきていますので、今回の見直しと、さらに全体のルールの緩和等によって、しっかり出回れば6月から7月に3000円台に下がる可能性もあると思います。いずれにせよ、農家と消費者が生産と消費を持続できるように政策転換をする必要があるタイミングになっているかなと思います。

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「経済部」は、「日本や世界の経済」を、多角的にウォッチする部。「生活者の目線」を忘れずに、政府の経済政策や企業の活動、株価や為替の動きなどを継続的に定点観測し、時に深堀りすることで、日本社会の「今」を「経済の視点」から浮き彫りにしていく役割を担っている。
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