パラリンピックで金メダルを獲得した国枝慎吾さんや小田凱人選手など、世界をけん引する日本の車いすテニス界。
その中で富山から世界を目指す選手がいます。その熱い思いに迫ります。
上市町出身の笹島湧希選手、23歳。
おととし、日本代表の強化指定選手に選出され、シングルス、ダブルスで国内のタイトルを獲得。アジアを中心に海外で行われている国際大会にも出場し、次世代のエースとして期待されています。
*車いすテニス 笹島湧希選手
「国枝慎吾さんに指導をいただいた。国枝慎吾さんを越えるつもりでやっている」
笹島選手の強みは、フォア、バックの巧みなラケットさばき。
パラリンピックの金メダリスト国枝慎吾さんから直接指導を受けた時には、「バックハンドは自分よりもうまい」と絶賛されたほど。
加えて、瞬発力とスピードのある巧みなチェアワークでラリーを制します。
笹島選手を指導している山岸コーチもそのプレーに目を見張ります。
*スポーツミヤモト 山岸裕一さん
「健常者とテニスをするのと変わらないくらいの感覚でラリーができる。尊敬しかない。」
*車いすテニス 笹島湧希選手
「生まれつき障がいをもっていて車いすにのっているのでチェアワークの速さは強みだと思う」
先天性の心疾患による虚血性脊髄症で、生まれつき足が不自由だった笹島選手。
幼いころは心臓が弱く、当時はスポーツをすることも医師から止められていました。
それでも、何かに打ち込み夢を抱いてほしいと、両親や医師の進めで中学1年の時に始めたのが車いすテニスでした。
以来、競技の奥深さや駆け引きの面白さを知り練習に明け暮れる日々。着々と実力を付けていきました。
*母 律子さん
「運動制限があったので思いっきり運動はできなかった。徐々に強くなってた。」
*父 清隆さん
「結果を残せればいいけれど一番はけががないこと。楽しくやってくれるのが一番。」
競技を始めてからは心臓も徐々に強くなり、制限のあった飛行機での移動も可能に、去年は国内の5大会、海外の2大会に出場しました。
そんな、笹島選手、平日は黒部市の企業でフルタイムで働いています。
練習は、勤務が終わった午後7時からの2時間。
決して十分な時間とは言えませんが、その分、集中力を高め、力を付けてきまた。
仕事と競技を両立しながら世界のトップを目指し活動する笹島選手には、ある悩みがありました。
*車いすテニス・笹島湧希選手
「自分の給料や貯金を切り崩して行かないといけない状況。大会に出れば出るほどポイント制のスポーツなのでポイントを稼げるが限りのあるなかでなかなかポイントを稼げていない状況。」
国際大会に必要な遠征費用は自己負担。
アジアの大会ではエントリー費や宿泊費で30万円の経費が必要です。
笹島選手にはスポンサーがついていないため、国際大会に出場するための十分な資金がなく海外でのポイントを獲得するチャンスを十分に得られていません。
そうしたなか3月下旬から始めたのが、クラウドファンディングです。
国内外で行われる大会の遠征資金を補うため、目標金額は50万円に設定しました。
*車いすテニス 笹島湧希選手
「遠征に行くには金銭面的にもなかなか難しい部分がある。世界ランキング1位になりたいので支援をお願いできればと思います。よろしくお願いします。」
現在、笹島さんの世界ランキングは153位。
1大会でも多く国際大会に出場してポイントを獲得し、シングルスの世界ランキングで今シーズン100位以内、2028年のシーズンまでに10位以内の目標を掲げています。
*車いすテニス 笹島湧希選手
「目指すところはやるからには世界ナンバー1。パラリンピックに出場して金メダルをとりたい。」
笹島選手は10月には台湾で行われる国際大会出場も見据えていて、クラウドファンディングは来月下旬まで行う予定です。