笠岡市のシンボルで、国の天然記念物のカブトガニの保護活動に成果が出ています。市の調査で、2024年度の捕獲数が35年ぶりの高い水準となったことが分かりました。

カニとは異なる不思議な形をしたカブトガニ。クモやサソリに近い生物で、2億年もの間、その姿を変えていません。「生きた化石」と呼ばれ、国の天然記念物にも指定されています。しかし、人の営みの中で、数を減らしてきました。

広大な干潟があり、カブトガニが繁殖できる全国有数の場所だった笠岡湾。しかし干潟を農地などに変える干拓により環境が激変しました。市によりますと、捕獲数は記録が残る1989年度の76匹をピークに減少し、一時期1桁に落ち込みました。

市は、2003年に全国で初めて繁殖地での潮干狩りなどを禁止する条例を制定し、保護活動の強化に乗り出しました。その結果、2024年度は捕獲数が75匹と、35年ぶりの高い水準に回復しました。

(笠岡市立カブトガニ博物館 森信敏館長)
「皆さんのカブトガニに対する思いとか保護に対する取り組みとかがこういう結果になったのかなと思う。こんなにたくさん捕れるとは思ってもみなかったのでうれしい驚き」

回復に1番効果があったのは、人工的に繁殖させて放流する活動です。カブトガニは10年ほどかけて大人の個体に成長しますが、2014年度に幼い個体を1万8000匹以上放流しました。放流活動は現在も続けています。

(笠岡市立カブトガニ博物館 森信敏館長)
「カブトガニは、かつていたというのではなくて、細々でも繁殖地に行けばカブトガニを見ることができるというところまでもっていきたい。そのためにはまだまだ人の手がいると感じている」

市はこのほか繁殖地での監視員による巡回や海岸の清掃活動なども続けたいとしています。

岡山放送
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