ここ最近、オンラインカジノの話題が全国ニュースで取り沙汰される中、「ギャンブル依存症」への関心が高まっています。
鹿児島市で先日、全国ギャンブル依存症家族の会鹿児島が主催するセミナーが開かれました。
依存症の当事者から「多額の借金」や「食事もままならないほどギャンブルにのめり込む」深刻な状況とそれを克服する努力が語られました。
ギャンブル依存症の息子を持つ母親
「最終的に借金は500万円近くに膨れ上がった。私も心身ともに限界だったし、葛藤もあった」
鹿児島市山下町の宝山ホールで開かれたのはギャンブル依存症に関するセミナーです。
ギャンブル依存症とは、ギャンブルにのめり込み、やめたくてもやめられなくなる状態のことで、日常生活に支障を及ぼすこともある精神疾患のひとつとされています。
ギャンブル依存症の治療中・畠中 貴大さん
「借金500万円の内訳は消費者金融、街金、親、友人も10人以上。闇金からも借りた。普通に生活しているんだよというのを取り繕うのがすごくきつくて、一日一食というのが職場で食べるご飯だけ」
ギャンブル依存症からの回復に取り組んでいる畠中貴大さんです。
かつて17年にわたってギャンブルにのめりこんでいたという畠中さんですが、今は約2年間、ギャンブルから離れることができていると言います。
きっかけとなったのが、依存症治療のための入院や、同じ症状を持つ仲間との交流でした。
ギャンブル依存症の治療中・畠中 貴大さん
「入院で思ったことは病気を知ることができる。完治することはないけど回復できることを知った。ミーティング、分かち合いというもので、ギャンブル以外の問題で日々ストレスを感じているので、そこを話して共感を得られる。このセミナーが終わった後にパチンコ行くかもしれないので…。それぐらい、きょう1日なんとかギャンブルをしないために、仲間とのつながりを大事にしている」
ギャンブル依存症からどうやって回復するか。
治療にあたる医師は、本人だけでなく周囲の人がギャンブル依存症を脳の病気だと認識して理解を深めることが大切だと指摘します。
森口病院・田中 大三院長
「いろいろな脳の病気と変わらない。普通の病気は再発したら『また頑張ろうね』と言うのに、依存症だけは再発したら『なんでこんなことになるの!』となる。(ギャンブル依存症は)病気だという概念をもってほしい」
ところで、ギャンブル依存症問題を考える会によりますと、近年、急増しているのが違法なオンラインカジノに関する相談です。
相談を寄せるのは、多くが大学生などの若者だといいます。
警察庁のまとめでは、15歳から79歳まででオンラインカジノを国内で利用したことがある経験者数は、約340万人と推計されています。
さらにそのうちの6割ほどが、自らがギャンブル依存症になっている可能性を自覚しているとみられています。
オンラインカジノの特徴としては、スマートフォンなどで朝から晩まで手軽に賭けができること。
クレジットカードや電子マネーなどを使うことで、手元に金がなくてもギャンブルができることなどが挙げられます。
そこでギャンブル依存症問題を考える会では、国に対して次のような早急な対策を求めています。
全国ギャンブル依存症家族の会 鹿児島・本田 恵美子さん
「オンラインカジノ広告の全面禁止、海外では多くの国が何らかのブロッキング対策を実施している。日本でも早急な対応が必要」