特集、「老いゆく社会」シリーズ第9弾です。
1947年から3年間の第1次ベビーブームに生まれたおよそ800万人、いわゆる「団塊の世代」が今年、全員、75歳以上となります。
国民の5人に1人が後期高齢者になると予測される今、今月、県内に完成した介護の新たな拠点を取材しました。

延べ床面積およそ8千200平方メートル。
レンタル福祉用具事業者のメンテナンス施設としては、国内最大級の規模を誇ります。
高齢化社会を支える新たな拠点として、今月、誕生しました。

【日本基準寝具・今井誠則社長】
「ここはどちらかというとケアマネージャーさんみたいな人にも見てもらいたい商品が網羅されている」

1947年ごろから始まった「第1次ベビーブーム」。
その時代に生まれた「団塊の世代」と呼ばれる人たち、すべてが今年75歳を超えます。国内の人口のおよそ5人に1人が、後期高齢者になると予測される今年。
訪問介護事業所などを運営する介護の専門家は、福祉用品の重要さを指摘します。

【高齢者向け住宅や訪問介護を運営・「つなぐ」森田緑社長】
「1人で生活できなくなった時に手すりがあったら1人で歩けるとか。福祉用具があることで在宅で生活が継続していける人もいるので、すごく大事なものになってきます」

建物の3階には、様々な種類の介護用具や最新の商品が展示されています。
この機械は、カメラの前に立つだけで、体のゆがみなどを検知して、解消するためのトレーニングを提示してくれます。

【メーカー担当者】
「上っていくような動作をしてもらえれば」
「こうしなさいということが具体的に出る。あなたはこうしたら解消できますという」

上っていくと点数が加算され、ゲーム感覚でリハビリをする仕組みです。
この他にも、楽しみながら、体を動かす様々なコンテンツが用意されています。
マットレスの下にあるこの機械は…

【メーカー担当者】
「一人一人の睡眠の状況を日誌という形で見える可できます。それによってその人たちの睡眠の状況や生活リズムを把握してリズムの改善に利用する。呼吸や心拍も参考値ですがデータを取ることができています」

展示されている器具は、介護関係者が使って体験することができます。
これは使う側にとって大切なことです。

【「つなぐ」森田緑社長】
「色々な種類があるので、その人に合ったものを探していきます。同じ車いすでも種類が何種類もあったりするので、利用者の生活が変わってしまう事もあるので生活に密着している大事なものだと思う」

また、福祉用具はレンタルするケースが多いといいます。

【「つなぐ」森田緑社長】
「状態が変わった時に(用具の)変更ができる。買ってしまうと(用具が)そのままになってしまうので、変更するのに買い替えるとお金がかかってくる」

さらに、レンタルならではのメリットもあります。

【「つなぐ」森田緑社長】
「汚れてしまったりすることもあるので、定期的に(きれいなものに)替えてもらえるという点はあると思う」

これまで、用具の洗浄は主に手作業で行っていました。
ここでは、介護用具を洗浄、消毒したり、乾燥させる最新の機械が、設置されています。
これは、車いす4台を同時に洗える多目的洗浄機。

【日本基準寝具・神田久司取締役】
Q:手作業ではどれくらいかかっていた?
「1日パートさんが作業して仕上げるのに2台がやっとだった。(今は)いったん洗ったものを仕上げてもらうと1日1人で3台以上はできるようになる」

作業の自動化には、人手不足の中、生産性を向上させる狙いもあります。

【日本基準寝具・神田久司取締役】
Q:生産性はどれくらい上がった?
「最初は1.2倍。目標は1.5倍まで上げることです」

さらに、これまで不可能だったこともできるようになりました。

【日本基準寝具・神田久司取締役】
Q:これも以前は手作業でやっていた?
「これは洗えなかったのでマットが汚れるので汚れないように上にカバーをして熱で消毒するだけだった。(以前は)洗えていないんです」

最新設備の導入で衛生レベルも向上しました。

【日本基準寝具・神田久司取締役】
「洗い終わったものは臭いもほとんどないです。今までは汚れて戻ってくるものは匂いもありました。そういう衛生面はしっかり保たれている」

しかし、用具のメンテナンスには手作業でしかできないものもあります。

【日本基準寝具・神田久司取締役】
Q:ここはメンテナンス?
「仕上げをしてもらう場所になります。すべて手作業です」
Q:修理なども含めて?
「全て含めて出荷できるように準備するのがこのエリアになります」

トータルケアセンターでは、これまで分かれていた訪問介護、訪問看護、福祉用具の事業所を1カ所に集めました。

【日本基準寝具・神田久司取締役】
「それぞれ役割が違いますので連携を取ってもらうということ。福祉用具が柱なので2階にはメンテナンス部門があるので、実際にお客がどのように使っているのかという情報を(各部で)回しながら製品の改良やメンテナンスの質を上げることにもつなげていきたい。職員にももっと福祉用具に関心を持ってもらう。うまく使ってもらえるようになってもらいたい」

増え続ける高齢者、介護の担い手や施設不足が懸念される将来。
質の高いサービスや介護用品は、社会課題を解決する大きな一手となります。

【「つなぐ」森田緑社長】
「施設に入らないといけないという人でもこの福祉用具がある事で住み慣れた家で生活ができるという事もある」

【日本基準寝具・今井誠則社長】
「来てもらって見てもらうとこんな便利なものがあるのかなと、驚きというか生活にぜひ必要だという商品がいっぱいあると思うのでぜひ気軽に立ち寄って見てもらえたらと思います」

様々な機能を備えて、広島に新たに誕生した介護用具の複合施設が、「高齢化社会に、どのような役割を果たしていくのか?」注目されます。

《スタジオ》
【コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん】
「私の父がまさにこの年代で先週リハビリ病院から退院したばかりなので、自分ごととして見ました。業界の人手不足ということだけではなくて、こういう器具が揃っていくことで少しでも寝たきりを離れられたり自立のサポートができれば、家族にとっても明るいニュースではないかと思います」

テレビ新広島
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