おととし、大阪市の男子中学生が自殺したことについて、第三者委員会は「いじめが最大の要因」と結論付けた。

学校側の対応についても問題があったと指摘している。

『いじめが最大の要因』第三者委が結論
『いじめが最大の要因』第三者委が結論
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■男子生徒の遺書「すべてが嫌になった本当にごめんなさい」

第三者委員会・曽我智史弁護士:部活動での厳しいいじめが続いて日常化していたといえます。

いじめを受けていたのは大阪市立の中学校に通っていた中学3年の男子生徒だ。

1年生の時から水泳部に所属していたが、複数の部員から「うざい」「じゃま」と悪口を言われたほか、「女好き」といじられるなど日常的に嫌がらせを受けていた。

第三者委員会が報告書を提出
第三者委員会が報告書を提出

2023年8月、男子生徒は水泳大会の後の打ち上げに呼ばれず、自ら命を絶った。

男子生徒の遺書より:すべてが嫌になった 本当にごめんなさい もうこれ以上傷つきたくなかった。ありがとう。

男子生徒の遺書
男子生徒の遺書

■学校側が嫌がらせ行為などを把握していたにも関わらず、対応せず

第三者委員会は45件のいじめ行為があったと認定。「部活動内でのいじめが自殺の最大の要因だった」と結論付け、市の教育委員会に報告書を提出した。

第三者委員会・曽我智史弁護士:排除・無視というのは重いいじめだと考えています。直接的に暴力を振るわれるいじめより(心理的な)打撃が大きいかもしれない。

また、いじめを見過ごした学校側の対応についても厳しい指摘が。

男子生徒は「いじられるのが嫌だ」と周囲に話していて、学校側が嫌がらせ行為などを把握していたにも関わらず、対応しなかったことは「いじめ」をエスカレートさせた一因とした。

第三者委員会・曽我智史弁護士:『いじり』もハラスメントの一つだととらえて子供たちが心身の苦痛を感じる場面があるはずで、そこをどうやってキャッチアップするか仕組み作りを学校として積極的にやる必要がある。

大阪市教育委員会は「報告書を真摯に受け止め、今後の対応策を検討する」としている。

学校側が対応せず
学校側が対応せず

この事案、学校側は『いじめ』ではなく、『いじり』と認識していたということだ。 亡くなった男子生徒の両親がコメントを出した。

男子生徒の両親のコメント:心優しい我が子でした。その笑顔の裏でどれほど傷つき、絶望していたか。本当にやりきれない気持ちになります。

子どもたちには加害者にも、被害者にもなってほしくない。

いじめに気づかない、気づこうとしない教員には教壇に立つ資格などありません。

男子生徒の両親のコメント
男子生徒の両親のコメント

■「絶対いじりも、いじめも許しちゃいかん」

共同通信社の編集委員・太田昌克さんは、いじめを見過ごした学校側の対応について、どこかで気づけたのではないかと訴えた。

共同通信社 編集委員 太田昌克さん:子を持つ身として、こういうコメントを聞くと、亡くなられた方が追い込まれていく心境、そして亡くなった後のご両親の思いを考えると胸が張り裂ける、このコメントは本当に。

『いじり』も受け手の感受性、感じ方によって、間違いなくいじめであって犯罪行為なんですよね。コメントの中に教師が気づこうともしなかったんじゃないかっていうものすごい憤り、悲嘆に暮れながらのコメントですよ。どこかでSOSのサインがあったんじゃないのかな、気づけたんじゃないのかな。それに取り組まなかった学校って何なんだろうっていう。

もう一つは、被害者ももちろん作っちゃいけない、加害者も絶対作っちゃいけないんだ、いじった人たちは、子どもたちは十字架を背負って今後生きなきゃいけないんですよね。

今回の報告書もありますが、いじめは社会を映す鏡であるって書いてあるんですよ。絶対『いじり』も、いじめも許しちゃいかん。胸に刻んで、亡くなったお子さんの命が無駄にならないようにしないといけません。

共同通信社 編集委員 太田昌克さん
共同通信社 編集委員 太田昌克さん

■「(学校が)安心して預けられる場所になって欲しい」

2人の子をもつ母である関西テレビの加藤デスクは。

関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:本当に死んでしまってはもう遅いんですよね。その(亡くなる)前に気づくチャンスがあったかもしれないけれど、もしかしたら先生たちが気付かない、もしくはトラブルに巻き込まれたくないとか、そういう思いがもしあったんだとしたら、本当に真摯に、これが事実だということを受け止めて欲しいです。

あと、親としても安心して預けられないですよね、本当に公立の小学校、中学校の先生たち、業務過多で大変かもしれませんけれども、親御さんも含めて安心して預けられる場所になって欲しいと思います。

「加害者にも被害者にもなってほしくない」という両親の言葉を社会でしっかりと受け止めなくてはいけない。

(関西テレビ「newsランナー」2025年5月12日放送)

関西テレビ 加藤さゆり報道デスク
関西テレビ 加藤さゆり報道デスク

生きづらさを抱えた人たちのためのさまざまな窓口が設けられている。

#いのちSOS(特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンク)
0120-061-338(24時間)

よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
0120-279-338(24時間。外国語対応)

いのちの電話(一般社団法人 日本いのちの電話連盟)
0120-783-556(毎日16時から21時。毎月10日午前8時から翌午前8時)

こころの健康相談統一ダイヤル
0570-064-556
電話をかけた所在地の都道府県・政令指定都市が実施している「こころの健康電話相談」等の公的な相談機関に接続します。

【子供向け相談窓口】

チャイルドライン(特定非営利活動法人(NPO法人) チャイルドライン支援センター)
0120-783-556(毎日ごご4時からごご9時)

こどものSOSのそうだんまどぐち(文部科学省)
0120-0-78310(24じかん)

子どもの人権110番(法務省)
0120-007-110(平日午前8時30分~午後5時15分)

関西テレビ
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