秋田市の海浜公園で風力発電の風車のブレードが落下した事故を受けて8日、発電事業者の社長が県と市に謝罪しました。また社長は、調査委員会を立ち上げて事故原因を究明する考えを示しました。
この事故は、5月2日に秋田市新屋町の新屋海浜公園で、さくら風力が設置した陸上風車からブレードが落下したもので、近くで81歳の男性が倒れているのが見つかり、その後死亡しました。男性の死因は、体の複数の部分に重い損傷を受ける多発外傷とみられ、警察が事故との関係を調べています。
8日はさくら風力の盛高健太郎社長などが、県や秋田市に事故の状況を説明するために秋田入りしました。
さくら風力の盛高社長は、記者から「県にはどういった説明をするのか」と問われ、「まずはおわびからだと思っています」と答えました。
午前9時ごろに秋田地方総合庁舎に入り、県産業労働部の担当者に謝罪するとともに、事故の概要やブレードの破損状況、今後の体制などを説明しました。
また、盛高社長らは秋田市の担当部署も訪れ、「このたびは、ご心配、ご迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんでした」と謝罪しました。
会合は冒頭のみ公開され、市はさくら風力に対し、早期に原因の究明を進めるとともに、破損したブレードが現在も残っていることから、警察の捜査が終わり次第早急に現場の安全を確保することなどを求めました。
秋田市新エネルギー産業推進室の村上義紀室長は「発電事業者に対し、今回痛ましい事故が起きて市民の尊い命が失われた。秋田市としては非常に重大な事案であると認識している」と述べました。
この後、盛高社長らは事故現場に入り、破損したブレードの状況などを確認しました。今回事故を起こした風車は、発電事業者がさくら風力で、風車の保守管理は日立パワーソリューションズが担っています。
報道陣からは、事故が起きる前の風車の状況について質問が相次ぎました。盛高社長は「『事故の予兆がある』という連絡が日立パワーソリューションズから弊社にあったかという質問については、それはない」と答えました。
また、ブレードの落下事故と男性の死亡との因果関係について、盛高社長は「そこについては回答は変わらずで申し訳ないが、警察にも話しを聞いているが現在捜査中とのことで、それ以上のことは何も申し上げられない状況」と述べました。
盛高社長は、近く専門家などを入れた事故調査委員会を設置し、原因を究明していくことを明らかにしました。また、12日から風車のブレードを撤去するための作業を始め、5月中に終えたい考えです。