浜松市中央区で小学生4人に軽トラックが突っ込み、1人が死亡し、1人が一時重体となった事故で、運転していた男性(78)は過失運転致死傷容疑で送検されたものの、検察が処分保留で釈放し、在宅捜査が続いています。菊地幸夫 弁護士と共に今後のポイントなどを考えます。
男性は事故を起こした3月24日に逮捕され、4月14日に釈放されました。
釈放されたのは捜査と判断に時間がかかるためです。
現在は検察が過失運転致死傷の罪について在宅で捜査を続けていますが、今後の判断においてポイントとなってくるのが予見可能性です。
予見可能性とは注意すれば危険な事態が発生することを予測できたかどうかです。
実は、男性は事故の3週間ほど前の3月7日か8日にも木にぶつかる事故を起こしていました。
男性へのインタビューをお聞きください。
事故を起こした男性(78):
(木に)当たってすぐ停まりかけて、交差点だから停まりかけたところで目がくらんで、何かおかしいと思ったら、もうちょっと(車を)こすっていて。降りたら自分の車がスジがついていたのとへこんでいた
男性はこの事故を起こした際に意識を失っていたと明かしています。
そして、今回の事故でも「衝突する2~3秒前から気を失ったと思う」と話していました。
事故を起こした男性(78):
衝突する2~3秒前から気を失ったと思う。そして停まったところですぐに目を覚ました。その時には胸を片一方(の手で)押さえて、片一方はハンドルを持った感じで目を覚ました
今回の事故を起こす3週間ほど前にも同様の事故を起こしていることから予見可能性という点で検察の判断に影響を及ぼすのでしょうか?
菊地幸夫 弁護士:
通常は事故が起きる直前に過失(落ち度)がある。例えば脇見とか速度の出し過ぎとかの過失があって予見できずに事故を起こす。事故が起きたのは過失のためなので、その責任を問うことになる。この場合も予見可能性は問われてはいます。
一方、今回の場合は事故直前「意識がなかった」ということで病気かもしれない。病気であれば一概に責められない。
そこで事故直前ではなく、もっと前の時点までさかのぼり、今回の事故を予見できるようなことがなかったか?となっている。
この運転手の場合、事故の前に「木にぶつかった」と言っているので、今回、意識を失い事故をまた起こすかもしれないと予見できたのではないか調べている。木にぶつかった事故はどういうものだったのか、体調はどうだったのかなどを調べるのに時間がかかるため処分保留で釈放とした
-最終的な判断まで時間がかかる?
菊地幸夫 弁護士:
事故を起こしたあと、通常は20日間勾留となりますが20日間では調べきれないと思う
-こうした事故を二度と起こさないためには何を考えるべきか?
菊地幸夫 弁護士:
現在は16歳でバイク、18歳で自動車というように年齢を重ね能力が高まるに従い免許を取れる制度になっている。
ところが、ある程度の年齢になると耳が遠くなる、目が悪くなるなど、誰でも能力が徐々に落ちていく。そうすると、能力が落ちたのに免許がそのままで良いのか?ということになる。
若い時は免許が取れないのだから、一定の年齢に達したら一旦免許を剥奪する制度にしても良いのではと思う。引き続き運転したい人はもう一度、免許を取りなおせば良い。もう一度、免許が取れない人はそもそも運転したら危ない人ですから。こうした今よりも厳しい制度にすべきではと思います
一方で、男性は「乗れなくなると仕事に差し支える」とも話しており、車が必要な地方部での高齢者の運転の問題についても改めて議論が必要です。