札幌ススキノのホテルで男性が殺害後に首を持ち去られ、親子3人が逮捕された事件で、札幌地方裁判所は5月7日、実行役とされる田村瑠奈被告(31)の犯行を手助けした「死体損壊ほう助」「死体遺棄ほう助」の罪に問われた母親の浩子被告(62)に対し「懲役1年2か月・執行猶予3年」の有罪判決を言い渡しました。

 判決で渡辺史朗裁判長は「”死体遺棄ほう助”については、頭部を持ってきた時点では終了しない。警官が臨場する日まで成立。だから容認し隠匿した」と指摘。

 また”死体損壊ほう助”については「瑠奈被告からの依頼を修被告に伝えたことも手助けになる」と指摘し、どちらの”ほう助罪”も成立するとしました。

 一方で、「修被告に比べればほう助を促進の程度は少ない、また自己保身的な発言や行動は認められるが、反省していることがわかる」として、執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。


■首を切断し自宅へ持ち去る…前代未聞の凄惨な事件

 この事件は、2023年7月、札幌ススキノのホテルで頭部を切断された男性の遺体が見つかり親子3人が逮捕されたものです。

 浩子被告は殺人などの罪に問われている娘・瑠奈被告が持ち帰った頭部を自宅に隠すのを容認し、さらに損壊の様子を撮影するよう求められ、父親・修被告に依頼した死体遺棄と死体損壊のほう助の罪に問われていました。

 3月に行われた母親・浩子被告の裁判で検察側は「瑠奈被告による被害者への殺害計画を知っていた。頭部を持ってきたことを認識していた。そして以後、容認した」と指摘。

 さらに瑠奈被告から撮影を依頼された浩子被告は「撮影カメラマンするでしょ」と修被告に促したことなどが手助けにあたるなどとし、懲役1年6か月を求刑。

 一方、弁護側は「遺棄を容認できる立場ではなく、許可もしていないし許可を求められたこともない。修被告への撮影依頼も抽象的で、間接的にでも瑠奈被告による損壊を手助けしたとはいえない」などとして無罪を主張していました。

■父親・修被告には懲役1年4か月・執行猶予4年の判決(その後、弁護側・検察側ともに控訴)…娘・瑠奈被告の公判見通し立たず

 親子3人のうち父親・修被告に対しては3月12日、懲役1年4か月・執行猶予4年の判決(検察・懲役10年求刑)が言い渡されています。

 札幌地裁は「事前に瑠奈被告から相談を受け、殺害計画を明かされていたとは言えない。瑠奈被告と事件前の関係に戻らない限り再犯の見込みがないから執行猶予が相当と判断」と判決の理由を述べました。

 その後、弁護側と検察側、双方が控訴しています。

 一方、殺人などの罪で起訴されている娘・瑠奈被告の公判の見通しは立っていません。

北海道文化放送
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