先日、陸上競技のやり投げに転向を発表した元パラカヌー日本代表の小松沙季さんが初めての公式大会に出場。日本のパラ陸上にとって歴史的な「一歩」ならぬ、「一投」となった。
「今後も期待しかない」パラカヌーから陸上へ 新クラス開拓で強化指定B記録を超えた!
4月26、27日に愛媛県松山市で開催された日本パラ陸上競技選手権大会。

9月にインドで開催される世界パラ陸上の選考大会のひとつとして位置づけられており、国内のトップ選手をはじめ全国から250人を超えるパラアスリートがエントリーした。
障害のレベルに合わせてトラック競技のほか、円盤投げなどのフィールド競技が行われる中、競技場に姿を現したのは四万十市出身のパラアスリート・小松沙季さん。

東京・パリと2大会連続でカヌーの日本代表に選ばれこの4月から陸上競技のやり投げに転向した。
小松さんにとって今回は初めてとなる公式大会だ。
各競技と同様にやり投げも障害のレベルによってクラスが分かれており、小松さんはF54に該当する。
Fはフィールド競技を意味し、50番台は車いすや投げる際に使う専用のいす「投てき台」を必要とするクラスだ。競技は大会が用意した複数のやりの中から1本を選び、制限時間内に6回連続で投てきを行い飛距離を競う。

実は、小松さんが参加するF54のクラスはこれまで日本に競技者がおらず、小松さんが初めてとなる。
スタッフ:「一投目、小松さんどうぞ」

記念すべき公式戦一投目、いきなり14メートル66をマーク!やり投げの強化指定Bの参考記録である13メートル87を超えてきた。
その後、13メートル後半の記録を出すものの、結果的に、一投目が小松さんの最長記録となった。この結果を受けてパラ陸上の幹部は。

日本パラ陸上強化委員長・鈴木徹さん:
いきなり一投目から14メートル66。(強化指定の水準を)を超えるということはすごいですし、やっぱりもともと(プロ)バレーボール選手ということもありましたし、パラカヌーで日本代表マインドの強さがあると思いますので、なかなかそういうのって育成が難しいと思うんですよね。もともと素材もすごいですし、やる気もすごいあると思いますので今後も期待しかないかなと思っております。
「練習では16m」も課題は本番の「持った時のグリップ」
日本パラ陸上競技連盟が規定する「強化指定選手」はレベルによって分かれており、パラリンピックで金メダル候補をSクラス、メダル圏内をAクラス、入賞レベルをBクラスとしている。

今回の小松さんの記録はBクラスに該当し、早ければ6月に強化指定選手として認定されるという。
小松沙季さん:
最低限の強化Bの記録クリアも含めて学ぶことも多かったので、良い大会になったと思います。練習では16メートルくらい、いいときは投げられるので、あとは「やり」。全然違ったので、普段練習しているのと持った感じが。グリップの消耗加減も全然違うし、その辺も勉強になったのでいろいろ考えながら調整したいと思います。

ちなみに前回のパリパラリンピックで小松さんのクラスを見ると、銅メダリストの記録は16メートル24だった。(※5位は14メートル55)
日本のパラ陸上において新たな歴史をつくった小松さんは、世界大会出場への切符を手に入れるため、6月に仙台で予定されている大会で強化指定A認定を目指す。
(高知さんさんテレビ)