世の中の疑問に深く切り込むコーナー「追跡」です。
今回のテーマは「イマドキ新入社員 初任給の使い道は?」と題してお伝えします。
先月から新社会人になった若者たち。
初めての給料は何に使うのか、追跡しました。
初任給30万円時代に突入!企業は“人材確保”に本気
2025年4月から社会人となった新入社員たちにとって、初めての給料は人生の大きな節目です。
今、注目されているのは「初任給の使い道」。
その背景にあるのが「初任給30万円時代」の到来です。
大手企業では、初任給を30万円以上に設定する例が増加。
たとえば、北海道のニトリホールディングスでは、IT職の初任給を3万円引き上げて30万円に設定。
少子化と学生の売り手市場が続く中、企業側は優秀な人材確保のため、基本給を積極的に引き上げています。
初任給の歴史をひも解く
この初任給の上昇傾向は、大手企業に限った話であるとも言われていますが、実際の推移を見てみると…
1976年には10万円未満だった初任給は、2000年には約20万円、そして2024年には24万円〜25万円に到達。
バブル崩壊以降の長期横ばいを経て、近年になって再び上昇し始めています。
「失われた30年」と言われる時代を超え、ようやく持ち直しの兆しが見え始めたとも言えるでしょう。
初任給の使い道は?若者のリアルを取材
初任給が上がってきた今、若者たちはそのお金を何に使っているのでしょうか?
実際に新入社員たちに話を聞いてみると、最も多かったのは「親孝行」でした。
「母と父と一緒にご飯に行きたい。お寿司屋さんだったり、ちょっとご褒美的なところに行けたらいいなと思っている」
「家族にステーキをおごりました。7000円くらい。(Q:初任給はいくら?)24万円くらい。重みとかはよくわからなかったけど喜んでいた」
最新のデータを見ても、「親にプレゼント」や「外食に連れていく」が上位に。
今まで育ててくれた感謝を初任給で形に表す若者が多いようです。
さらに、送るプレゼントの内容も。
「母と父にベッドマットレス。一人一人に5万円くらいのもの。年を取ると腰とか痛いという話もしていたので体をいたわってほしい」
「父はゴルフ、母は登山が好きなのでグッズを一緒に買ってあげたい。今まで両親が稼いだお金を僕にかけて学校など行かせてもらったので。まかなえる分まで」
「ちょうど家の掃除機が壊れたので。3万円くらい。初のバイト代も親に贈り物をしたんですけど、やっぱり社会人ということでありがとうの気持ちをもっと多くこめたいのでちょっとお高いものにしました」
自分も社会人になった証として、高価なプレゼントを贈る傾向が多いようです。
“親孝行”定番は今も昔も― 感謝は親以外にも
一方、30〜80代が初任給で贈った高価なプレゼントは?
「母にカラーテレビをあげた。(Q:当時初任給は?)1万5000円。(カラーテレビは)ピンキリあって3万円くらい貯めてあげました」
初任給の金額は違っても、親への感謝は今も昔も変わっていないようです。
さらに初任給で気持ちを伝えたいのは親だけではないようで…
「先に社会人になった幼なじみがいて、その子に『私は社会人だから』とごはんとかおごってもらったりしていたので、そのお礼に私もおいしいものをごちそうしようと考えている」
「会社の福利厚生の一環でトマムに格安で泊まれるので、彼女と行ってこようかと思う。(Q:初任給はいくら?)」手取りで23万円くらい。うれしいですね。これだけあったら何に使っていいかもわからないですし。道中でご飯食べたりとか、すべて自分が払おうと思っています。男見せたいと思って」
一方…昔の親以外への感謝は?
「手取り12~13万円くらいだったのかな。父方と母方のおばあちゃんにいつもお小遣いをもらっていたから1万円ずつのし袋に入れてあげた。もらっていたからそのお返し」
自分へのご褒美に使う人も
最新のデータでは、「自分にちょっといいものを買う」が上位に。
イマドキ新入社員は自分にどんなものを買うのでしょうか?
「NintendoSwitch2の抽選が当たったらそれに使う。5万円くらい。自分へのご褒美として」
「最近一人暮らしを始めて、掃除機を買いました。ずっとモップでかけていたのでそろそろほしいなと思って」
「長く使えるような革靴。今までとにかく安いものであればいいと思っていたけど、社会人になってからいい革靴を持っておいた方がいいと聞くので」
私生活の充実はもちろん、社会人1年目ならではのアイテムを購入するイマドキ新入社員が多いようです。
社会人の先輩たちの“自分へのご褒美”は?
「美顔器に使った。たまたま美容室に行ったら勧められてそのままドンと買っちゃいました。7万円くらい。今も使ってます」
「ガジェットが好きなのでXRのグラスを買ってました。何もない空間に3Dのものをおく。初任給で買ったのは10万円くらい。ほとんどそれだけに使おうと思って(Q:初任給で勝ったから思い入れが深まった?)ずっと一緒に歩んできたというか、初任給のころのデバイスちゃんも大切にしながら今もこれを使っている。」
一生に一度の初任給だからこそ高価な自分へのご褒美が多い中、UHBの新人アナウンサーは…
「一発ドンと大きいものを買いたいと思っていたが、ちょっと怖くなってしまって、100均で体験型ミステリーゲームを2つ買いました。将来のことを見据えて金遣いが荒くならないように今から習慣づけをしようと思って。安定志向なので」
ちなみに、大先輩・加藤寛アナウンサーは?
「もう30年も前よ?覚えてないな~…でも一つ言えることは、両親には何もしないで過ごしてしまって、後で適当に帳尻合わせ…忘れたからもう」
それを聞いて新人アナウンサーは…
「私はしっかり親孝行したいと思います」
入社式で見つけた“大型ルーキー”は初任給を何に使った?
4月に行われた入社式で、ひときわ目立つ新入社員に出会いました。
ティーピーパックに入社した、菊地哲平さんです。
彼はいったい初任給を何に使うのか…?
気になった我々は会社に突撃し、使い道を聞いてみることに!
「祖父母に日本酒をプレゼント。特に祖母が日本酒好きで、今までたくさんお世話になったり就活の時期とか一緒に杯を交わした。せっかくなら日本酒でお返ししたい」
後日、初任給が入ったということで祖父母のプレゼント選びを追跡させていただくことに!
「(Q:予算は?)1万円に収まればいいかな。(初任給の金額は?)21万円くらい。もともと家には入れようと思っていたので、プラス何か。この辺の日本酒のラベルはうちの会社で携わらせていただいたもの」
パッケージの代理店に就職した菊地さん。
ラベルのデザインのほか、日本酒を使った化粧品などもブランディングしているそう。
「アイデアだったり提案を持っている状態なので、お客様が欲しいものを一手二手先を読んで、『これどうですか?』と提案するところとして仕事としてやるのですごくやりがいがあると感じた」
今の仕事を選んだのも祖母の後押しがあったからこそだといいます。
「今(祖父母と)一緒に住んでいて。親が忙しくて家にいないことが結構多くて。祖父母が育ての親的な。本州に行くか地元で本当にやりたいことをやるか迷っていた時期に、祖母から『やりたいことって直感的に思ったならやればいいんじゃない?』と背中を押してもらった」
日本酒が大好きだという祖母の喜ぶ顔が見たいという一心で選ぶこと数十分。
勤務先がデザインに携わった日本酒3点に、おちょこがセットになった商品と、フェイスマスク、ブランケットを購入し、総額5280円。
プレゼントを渡した後、感想を聞くことに。
「ばっちり喜んでました。社会人になってから初めて一緒にお酒を飲むタイミングだった。ものを見せながら伝えることもできて、ちゃんと決意表明もできた。今度は自分がちゃんと関わって、自分の名前として言えるようなものを渡せるように先輩の背中を見ながら頑張りたい」
初任給に込めた“決意” 未来への第一歩
誰にとっても、人生でたった一度の「初任給」。
それをどう使うかは、その人の価値観や感謝の形、そして未来への思いが詰まった選択です。
今回の取材では、「親への感謝」「自分への投資」「祖父母への恩返し」など、多様な使い道に触れることができました。
浮かれて使うでも、節約に走るでもなく、“今を生きる若者たちのバランス感覚”が、そこには表れていました。
あなたは、初任給を何に使いましたか?
今だからこそ思い出してみたい、“あの日の気持ち”です。