コスト優先から地球ファーストの脱プラスチックへとかじを切った音楽業界で、初めての試みに迫りました。

作業員の手によって手際よく梱包される「Blu-ray Disc」。
機械は使わず、始めから終わりまですべて手作業。

実はここに、あの世界的音楽家も抱いていた、地球の未来を見据えた、ある思いが…。
音楽業界の新たな選択です。

4月30日にリリースされた6枚組のCD&Blu-ray「YMO 1979 TRANS ATLANTIC TOUR LIVE ANTHOLOGY」。

YMO(YELLOW MAGIC ORCHESTRA)が1979年に行ったワールド・ツアーの貴重な音源と映像を収録。
まさに永久保存版ともいえる内容ですが、実は注目はそれだけではないんです。

ディスクが納められているトレーは一見プラスチックのように見えますが、従来の製品に比べ、プラスチックを約97%削減した、環境に配慮したトレーなんです。

ソニー・ミュージックソリューションズ 鈴木宏枝部長:
きっかけはだいぶ前からなんですけど、我々ソニーミュージックのアーティストから環境に配慮したパッケージをぜひ作ってほしいという要望が長いことありまして、なかなか技術的な面でそれをかなえられなかったが、2年前に音楽製品のパッケージ用のトレーを自社で開発しようという社内のプロジェクトが立ち上がって。

ソニー・ミュージック・ソリューションズが2年前に開発した「環境配慮型ディスクトレイ」。
素材となっているのは、ソニーがすでに開発していた「オリジナルブレンドマテリアル」という紙素材で、その原料は竹、さとうきびの搾りかす、そして回収した古紙。
2021年からソニーのワイヤレスイヤホンのパッケージなどに使われていたものをディスクトレーに応用しました。

トレーは繊細な光ディスクに直接触れるため、古紙などから細かな粉が出ないよう試作を重ね、梱包の際は機械を使わず、すべて手作業で行っています。

2024年度から本格的に採用を始め、これまで自社レーベルの15のアーティストが採用。
他にも、ポニーキャニオンでも採用されるなど徐々に広がりを見せています。

YMOのメンバーだった坂本龍一さん。
今回の6枚組ディスクの発売に合わせ、所属していた事務所からは「坂本は1994年より環境配慮型のパッケージを採用し、折々にアップデートされたより環境に優しいパッケージを積極的に使用してまいりました。Opus(坂本さんのコンサート映画)のBlu-rayでも環境配慮型トレーを使わせていただいています」とコメントがありました。

ソニー・ミュージックソリューションズ 鈴木宏枝部長:
まずは、いろんなエンターテインメント各社の皆さんにも知っていただいて、採用していただきたいですし、今、音楽って配信がメインになっている中で、パッケージを開けた時に、このトレーを見て、手で触ってみて、「あれ?いつものプラスチックとちょっと違うな」とか、「少し優しい手触りのトレーだな」みたいな、今まで自分が触れていたものと、ちょっとした変化の部分から環境に対する意識みたいなものが少しずつ感じていただければと思っています。

エンタメの世界にも広がっているSDGs。
その思いは、未来へとつながっています。