島根県邑南町に5月3日、ラーメン専門店がオープンします。手がけるのは町内の醤油店、創業100年を超える老舗があえて「異業種」に進出するその背景を取材しました。

垣崎醤油店・垣崎宏次さん:
長いもので、大体4年熟成の醤油も中にはいれているのでラーメン1杯に作るために1000日かけているみたいな壮大なストーリーのある、物語のあるラーメン屋さんを作りたい。

ラーメン1杯に1000日がかり!?
ラーメンにかける夢を語るのは垣崎宏次さん(39)。
5月3日、邑南町に念願のラーメン店を開きます。
オープンを目前に控えたこの日も、試作に余念がありません。

看板メニューは「醤油屋がつくるラーメン」。
実は垣崎さん、創業103年の「醤油屋さん」で、鳥ガラなどから取っただしに自社製の醤油をブレンドした特製スープで勝負するつもりです。
店内を改装して、一角に厨房とイートインスペースを作りました。

4代目の垣崎さんが受け継いだ醤油店。
蔵に並ぶのは、昔ながらの「木桶」。
創業当時と変わらない製法で、今も醤油を仕込んでいます。
ラーメンに使うのはこの木桶で仕込み、4年近く熟成させたこだわりの醤油です。
2024年12月、店をのぞいてみると…。

垣崎醤油店・垣崎宏次さん:
どうしても巻いていくので、中心に力がかかってしまいます。打ち粉をつけていないとくっつきやすくなったりする。

この日は「めん」の試作です。
『醤油だけでなく、めんも自家製を』と「うどん県」として知られる香川県のメーカーから製麺機を取り寄せました。1台300万円…思い切りました。

垣崎醤油店・垣崎宏次さん:
ここにラーメン屋さんがないっていうのもあるんですけど、醤油がなかなか売れないこのご時世、若い人たちを取り込む何かがない。

人口約9300人の邑南町、町内には約40軒の飲食店がありますが、ラーメン専門店はありません。
まさに「ラーメン不毛の地」。
若者のためにも、この状況を打ち破ろうと一肌脱ぎました。さらに…。

垣崎醤油店・垣崎宏次さん:
これは梅麹といって梅と甘酒を加えた甘い梅のペースト。雑誌ananでの認定を受けた商品。

15年前にUターンし店を継いだ垣崎さん、若者の”醤油離れ”をしばしば肌で感じるといいます。
多くの人に醤油を手に取ってほしいと、新商品の開発にも取り組んできました。

垣崎醤油店・垣崎宏次さん 嚥下困難者さん:
ご飯食べるのが苦手の人のために、常温タイプのおかゆを作りました。江の川で釣れたサクラマスです。年に数匹しか獲れない幻の魚なんですけど、魚を販売する免許を取りました。販売の免許を取って売ってます。

新商品は醤油にとどまらず、その数は約200種類に。
ラーメン店のオープンは、こうした新商品開発の先にありました。

垣崎醤油店・垣崎宏次さん:
うちの会社は100年経つ。島根県内でもあんまり知られていないので、ラーメンをきっかけに木の桶で国産の大豆と小麦で作っているよっていうのをアピール出来たらと。そこから全国的に有名になれば良いかなと思います。

自然豊かな山間の町に響くラーメンをすする音…老舗の「醤油屋がつくるラーメン」の店は5月3日にオープンします。

TSKさんいん中央テレビ
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