隠し味は“共創”。
「味の素」がブランド価値向上のために打った新たな一手とは。
教室で机を並べ、真剣な表情でテストに臨む大人たち。
問題用紙には白米の文字。
先生の話を聞きながら授業中も食べたり飲んだり。
携帯で撮影している人も。
手にしている学習帳のような冊子、その中身は商品説明のパンフレットです。
味の素が開いた春夏の新商品発表会。
「'25年新入生」と書かれたボードの下には、鶏白湯スープに濃縮タイプの飲料ベースなどの新商品。
新入生は、100人を超えるインフルエンサーです。
味や原料などについての授業の後は…。
給食ではなく、文化祭の模擬店をイメージしたブースで試食タイムです。
試食しながら動画を撮ったりキャラクターと写真を撮ったり会場の至る所で撮影会。
SNSにも投稿されました。
インフルエンサー向けの発表会を開催する狙いは。
味の素・山﨑誠也さん:
料理のレシピを見るときの変化が出てきていて、インフルエンサーを参考にする人が増えてきた。そういう人たちとお付き合いをして、発信してもらえたらなと。
サイバーバズの調査によると、インフルエンサーマーケティングは2024年の1年間で860億円にも上り、5年後には約1.9倍の1645億円になる見込みだといいます。
インフルエンサーの皆さんは投稿時にどんなことを心掛けているのか聞いてみると。
「作りやすさとか材料の揃えやすさは結構気になる」「いいものを全部紹介するが、僕がいいと思わなかったものは紹介しない」「自分が実際に体験したり、食べたり見たりして、本当に周りの友達とかに心からオススメできるかという気持ちをもとに自分たちのアカウントにも載せる」などの声が聞かれました。
同じ生活者目線の投稿が共感を呼んでいるようです。
一方で、インフルエンサーマーケティングの課題とされてきたのが、一回限りで終わることが多いため長期的な効果につながらないことです。
そこで味の素が取り組んでいるのが、インフルエンサーとの継続した関係づくりです。
前向きにPRに協力してくれるインフルエンサーを社員が認定し、“あじふれんず”というコミュニティを形成。
誕生日や結婚などのイベントごとで連絡を取り、PRや商品開発に向けた意見交換を行っています。
さらに、定番商品「ほんだし」の工場見学にあじふれんずを招待したところ、水揚げされたカツオを手作業で丁寧にいぶし、顆粒(かりゅう)だしになるまでの様子が投稿されSNSで話題に。
売り上げが伸びたといいます。
味の素・山﨑誠也さん:
インフルエンサーというのがほぼみんな友達だと思っているので、だからこそ大切にしようと思っている。インフルエンサーは生活者をすごくよく見ていると思うので、学ばせてもらいながら食卓をより良くできるような共創をしていけたら。