“火の国”熊本で広がる水を育む森づくり。
地域が一丸となって水を守ります。

清らかに、そして穏やかに流れる自然の湧き水。
その中をのぞいてみると、透き通った水の中に色鮮やかな水草が生い茂り、魚たちが元気に泳いでいます。

この豊かな水を未来のこどもたちへ。
地域が一丸となった、ある取り組みが進んでいます。

3月中旬に真っ白な雪化粧をした雄大な山々が連なる熊本・阿蘇地方。
その中に、飲料大手サントリーが管理・整備する天然水の森があります。

山々に降り注いだ雨や雪が長い年月を通して地中深くに浸透し、この地下水を利用してビールやミネラルウォーターなど、多くのヒット商品が作られています。

サントリーホールディングス天然水の森グループ・三枝直樹さん:
サントリーは水がないとやっていけない会社なので、本当に命といってもいいぐらいのものだと考えています。熊本の地で2003年に工場ができるのに合わせて、天然水の森というものを設定させていただきました。

元々、熊本は県中心部の生活・工業用水のほぼ100%を地下水で賄っているほど水が豊富な地域。

サントリーでは、その熊本で2003年から天然水の森事業をスタート。

今ではその取り組みは全国に広がっていて、森林の間伐や植生の管理を行うなど、降った雨や雪がより地下に染み込みやすくなるような、水を育む森づくりの活動を続けています。

天然水の森のはるかふもと、豊かに水をたたえているのは冬水田んぼ。

冬、農作業を行ってない田んぼに、川から水を引き水をはることで地下により多くの水を浸透させています。

さらに、100%湧き水を利用し、冬でもプールいっぱいに透き通った水をはる、その名も「湧き水プール」。

“火の国”ならぬ“水の国”熊本ならではの光景です。

サントリーではこの他にも、子どもたちに水の大切さを教える「水育」を実施するなど、様々な取り組みを行っています。

県庁で説明が行われていたのは、最新の技術で開発された地下水のシミュレーション画像です。

青く示された河川の周囲に広がる赤い部分が地下水。
航空機によるレーザー測量や現地調査による膨大なデータを元に地下水を“見える化”しているんです。

サントリーホールディングス 未来事業開発部・川﨑雅俊課長:
地下水を守るためにどの場所で活動しなければならないのか。水をどうやって持続的に使っていくか、地下水を可視化することは極めて重要な課題だと認識。

熊本県 環境局環境立県推進課・若杉誠政策監:
半導体企業の集積に伴って熊本県内で地下水に対する関心はすごく高まっています。取る量ももちろん影響はあるけれども、地下水を涵養(かんよう)する地域。農地や山林を守っていくことも大事だということが明らかになってきていますので、そこに向けてしっかり検討して取り組みを進めていきたいと思っています。

地域が一丸となって進む地下水保全の取り組み。
3月には地元の大学や金融機関など6者による「熊本ウォーターポジティブ・アクション」がスタート。

「産・学・金」が一体となって、ふるさとの水を守ります。

熊本県・木村敬知事:
熊本は水の国、水の町でございます。この熱意をオール熊本、オールジャパンに広げていければいいなと思っています。

サントリーホールディングス天然水の森グループ・三枝直樹さん:
さらに森の状態を良くして、さらに水が染み込みやすくなる。水を育む森づくりを進めていって、さらに地下水涵養ができるような森づくりを進めていきたい。

阿蘇の雄大な大自然に育まれた“水の国”熊本。
清らかで豊かな水を守るため、その活動はこれからも続きます。