国内の観測史上初めて2度の『震度7』の揺れに見舞われた熊本地震で、最初の揺れがあった日から14日で9年です。県庁では犠牲者追悼式が行われ、遺族などが祈りを捧げました。

熊本県庁にある熊本地震の祈念碑前で開かれた犠牲者追悼式には遺族など20人が参列。式では冒頭、黙とうが捧げられ、木村知事が「地震によって失われた数多くの命や大きな犠牲の上に今があることを決して忘れず、引き続き地震の記憶や教訓を語り継いでまります」と式辞を述べました。

そして遺族などが祭壇に花を手向け、犠牲になった人たちへ祈りを捧げました。

【次男・晃さんを亡くした大和 忍さん】
「9年という長い時間がたったことは感じるが、この時期になると前震・本震と当時のことを昨日のことのように思い出す」

また、開式前には遺族の交流の場が初めて設けられ、災害で家族を失った当事者同士でしか分からない胸の内を語り合いました。
【木村知事】
「非常に心に染みたのは『近い人には本当のことは言えない。涙を流すことはできない。同じ苦しみ悲しみを共有しているからこそ流せる涙がある』」

【次女・花梨ちゃんを亡くした宮崎 さくらさん】
「どうしても〈あの時に戻りたい〉と思ってしまうし、〈あそこに行けば助けられるのではないか〉と今でも思う。娘に対しての思いは変わらない。皆さんが思っていたことと、私が思っていたこと、共通点があったりして、〈一人ではないんだ〉と思えるとこれから進んでいく中で勇気をもらえた」
【母・津崎 操さんを亡くした冨永 真由美さん】
「『遺族同士だけど知らない人』が遺族の中に『知り合い』ができた。
とても有意義な時間だった」

観測史上初めて同じ地域で2度、『震度7』の揺れに襲われた熊本地震では、災害関連死も含めて県内で275人が犠牲となり、一時最大およそ4万7800人が仮の住まいでの生活を余儀なくされました。

続いて、震度7の揺れに2度見舞われた益城町から中継です。亡くなった方々を追悼し記憶をつないでいこうと、竹灯籠がこの後、点灯されることになっています。

益城町役場となりの益城町震災記念公園には竹灯籠が並べられ、静かな祈りの雰囲気に包まれています。

益城町の復興まちづくりセンターにじいろが主催する『熊本地震4・14のつどい』がこのあと行われます。


13日は、小・中学生や地元の人たちが竹灯籠にメッセージを書き込みました。
〈9年前の記憶を風化させずに伝えていこう〉という思いが一つ一つに込められているようです。

実は、ここは私にとっても忘れられない場所です。前震直後に益城町役場周辺で取材しました。揺れが続く中、役場の駐車場に町民が集まり毛布にくるまり寒さをしのぐ姿が目に焼き付いています。

もとの駐車場だった場所がこのようにきれいに整備されました。

益城町では災害に強いまちづくりを目指しインフラ整備が着実に進んでいます。

県道熊本高森線の4車線化や土地区画整理事業で町の様子は大きく変わりました。

来年は節目の10年です。土地区画整理事業の影響で2世帯4人が今なお住まいを再建できていませんが、寄り添った支援を続けていただきたいと思います。

このあと午後7時に竹灯籠に火がともされ、前震が発生した9時26分に黙とうを捧げることになっています。

テレビ熊本
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