『公害の原点』とされる水俣病の公式確認から69年となった1日、犠牲者慰霊式が営まれました。
そして、いわゆる「マイクオフ問題」を受け今年は環境相と被害者団体との懇談が30日から2日間に渡って行われました。
どのような懇談となったのでしょうか。
【寺田菜々海アナウンサー エコパーク水俣/水俣市】
水俣湾を臨む慰霊の碑の前からお伝えします。
1日昼過ぎ、この場所で犠牲者慰霊式が行われました。
【黙とう・鎮魂の鐘】
日本の公害の原点とされ、69年前のきょう5月1日に公式確認された水俣病。
水俣の海を望む慰霊碑の前では、水俣市や患者団体などでつくる
実行委員会主催の犠牲者慰霊式が営まれました。
式には、遺族をはじめ、国や熊本県、原因企業チッソの関係者など約660人が参列し、献花台に花を手向け犠牲者を悼みました。
そして未認定患者を含む全ての犠牲者を追悼するため、ことし初めて地元の中高生が手がけたイラスト付きのプレートが奉納されました。
患者・遺族を代表して祈りの言葉を捧げた水俣市の漁師杉本実さん。
祖父母、そして父と母が認定患者です。
【患者・遺族代表 杉本実さん】
「家族が水俣病を発症してからのいじめ、差別、石を投げつけられたり、漁に使う網を切り破られたりは家族が語る話でしか聞いていません。それでも人を憎まず、子どもの前ではつらい顔を見せない、洒落が好きな父ちゃん。いつも明るい母ちゃん。これからも見守ってください」
水俣市の小学生も「同じあやまちを繰り返してはいけない」と祈りの言葉を捧げました。
【水俣市立葛渡小学校6年坂口悠介 さん】
「楽だから簡単だからと楽な方に逃げてしまうことは人間だからある。間違えたと思ったらきちんと謝りその後の行動を変えていきたい。『水俣病を教訓に』と聞くが、どう教訓にするかをこれからも考えていきたい」
一方、浅尾慶一郎環境大臣は…。
【浅尾慶一郎 環境相】
「水俣病の拡大を防げなかったことを改めて衷心よりおわび申し上げます」
また、木村知事は。
【熊本県 木村敬 知事】
「水俣病確認当初に、環境や健康を最優先に考え適切かつ迅速な対応ができなかったことは痛恨の極み。被害拡大を防ぐことができなかった熊本県の責任を重く受け止め、熊本県知事として心からお詫び申し上げる」
原因企業チッソの山田敬三社長は慰霊式後、報道陣の取材に対し次のように述べました。
【チッソ 山田敬三社長】
「当社の責務である補償を確実にやっていくことを自分自身に言い聞かせながら、祈りの言葉を述べさせていただいた」