こちらは鹿児島県薩摩川内市で13日行われた伝統行事の様子です。

伝統行事といえば毎年あるようなイメージですが、この祭りはなんと17年ぶりの開催なんです。

水田の守り神「田の神さあ」が倒された年にしか開催されないという一風変わったもので、地元住民たちが五穀豊穣や無病息災などを願い、参加しました。

薩摩川内市祁答院町の藺牟田地区。

道路脇に大きな岩が横たわっています。

「田の神様」です。

南九州では方言で「田の神さあ」とも呼ばれ、豊作祈願の神様として水田の近くに祭られています。

13日行われた「田の神起こし」は、その名の通り、この倒れた石像を起こすというもの。

そもそもなぜ倒れたのでしょうか?

実行委員
「令和の米騒動でびっくりして倒れたと思いましたが、毎年は無い機会なので皆さんで楽しく起こしていければ」

祭りの開催は実に17年ぶり。

祭りをやりたい地元住民の”誰か”が石像を倒した年にしか開催されない、一風変わった伝統行事です。

「せいの、おいしょ!せいの、おーいしょ!」

参加者によるとこの「田の神さあ」の重さは1t近くあるそうです。

大きなかけ声と共に男性たちが力一杯動かしますが、なかなか苦戦しています。

それでも少しずつ角度を変えていき、約20分かけて起こすことができました。

ここからは女性陣の出番です。

起き上がった「田の神さあ」に化粧を施していきます。

女性陣
「目とか位置がありますか?」「ここが眉、ここがほっぺ」「これ?」

「田の神さあ」の準備が整いました。

続いてやってきたのは、顔にすすを塗った踊り手たち。

田の神の化身として舞いを奉納し、五穀豊穣を願いました。

また、祭りでは化身から顔にすすを塗られると、健康に過ごせるという言い伝えがあります。

あたりには、すすを塗られた子どもたちの笑い声、ときおり泣き声も。

17年ぶりに開かれた地域の伝統行事。

参加者の表情には充実感が漂っていました。

参加者
「すごく幸せな一年になると思います」
「こういうのを若い人たちがしていけば、もっと盛り上がると思う」

藺牟田地区 田の神起こし・今村 誠 実行委員長
「4~5年に1回ぐらいできればと思っている。良いお米ができるように祭りで盛り上げていけたら」

久々に復活した伝統の「田の神起こし」。

誰が倒したのかは分からないままですが、次の開催は果たしていつになるのでしょうか?

鹿児島テレビ
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