アメリカのトランプ政権の関税措置を受けての日米交渉をめぐり、9日の衆院財務金融委員会で、野党議員が「ビビった方が負けだ」と強い姿勢で協議に臨むよう求めたのに対し、加藤財務相は「国益の維持・増大の観点から対応する」と強調した。

質問に立った立憲民主党の末松義規議員は、「トランプ大統領が示した日本が米国に課しているという関税46%はとんでもない数字だと思う。日本の関税平均で3%と言われているから、全く言いがかりとしか言えないでたらめな主張ではないか」と指摘した。

その上で「日本に対してトランプ大統領が24%の高関税をかけていくというのはまともな大人の主張ではない」と述べた上で、「世界から来る安い優秀な人気商品を輸入して、その結果、米国が大赤字になったら世界に対して責任を取れというのは単なる駄々っ子のわがまま論理ではないか」とアメリカを批判した。

さらに、「歴史的に見て、このような極端な保護主義がブロック経済化を生んで、第二次世界大戦を起こした」と指摘し、「最も歴史の常識を踏まえた対応をしているのが報復関税を唱える中国や欧州など、勇気のある国だと思う」と述べた。

末松氏はまた、「要は今のゲームはチキンゲームだ。ビビった方が負けという感じがある。ディールの脅しに屈したものがこのゲームの敗者になる」として、「どうも報復関税の手段は取らないようだし、日本政府は我慢に我慢を重ねて、多分屈辱的にですねトランプの提案を受け入れるのではないか」と加藤財務相の認識を質した。

これに対し加藤大臣は「これまで様々なレベルで懸念を米国に対し説明し、一方的な関税措置を取るべきでない旨を申し入れてきたにもかかわらず今般こういった措置が発表され、まさに実施に移されようとしていることは極めて遺憾であるし、その旨を米国政府に伝えるとともに、措置の見直しを強く申し入れていくということが基本的な私どものスタンスだ」と述べた。

さらに「日米貿易協定との整合性に深刻な懸念を有していることも申し上げてきた」と述べ、「財務省あるいは金融担当省としても関係省庁と協力連携の上、政府を挙げて対応していきたい」と強調した。

これを受け末松氏は「私が例えば交渉担当の大臣に仮になったとしたら、第一段階として中国とか欧州と連携してトランプ大統領に対抗し、国内において資金繰り支援など必要な支援にも万全を期していきたい」と述べ、追加関税に対抗している各国との合従連衡が重要だと指摘した。

対する加藤大臣は「今回のことに関わらず、日頃からEUはじめそれぞれ色々な意味での連携をしている」と応じ、「今般の対応について一番大事なことはいかに日本の国益を守っていくか、そのためにどういう道筋があるのか、ここに尽きるんだろうと思っている。総理もそうした考えに立った上で、あらゆる選択肢を排除しないという中において、どういう形で対応していくことが我が国の国益の維持・増大につながるかといった観点から対応されていくものと承知している」と国益優先の対応を強調した。

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