コメの流通の円滑化を目的に、政府が放出する備蓄米の入札が行われた。入札に不参加のJAみやざきは、備蓄米の買い戻し条件を理由に、入札に積極的に参加しにくいとしている。一方、宮崎県内の消費者や飲食店事業者からは、1日も早い値下がりを望む声が聞こえてくる。備蓄米はコメの値上がりの歯止めになるのだろうか。

備蓄米の入札開始

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農林水産省のまとめによると、全国約1000店舗のスーパーにおけるコメの販売価格の平均は、2月23日までの1週間が5キロあたり3939円で、前週から47円上昇。2024年の同じ時期と比べると、倍近く値上がりしている。国は「コメの流通に問題がある」として、備蓄米21万トンの放出を決めていて、10日から初回の15万トン分の入札を始めた。

入札の参加条件を満たす宮崎県内の集荷業者を取材すると、JAみやざきは「きょうの入札には参加していない」、宮崎県主食集荷協同組合は「入札に参加したかどうかは答えられない」と回答した。

JAみやざきは、入札した備蓄米と同じ量の買い戻しをすることが条件になっていることから、「今回の入札には積極的に参加しにくい」とした上で、今回の備蓄米放出で「コメの価格がこれ以上値上がりすることはないのではないか」と見ている。

消費者・飲食業者の反応は…

日本人の主食であるコメ、宮崎県民の生活にどのように影響しているのだろうか。

コメは毎日5合 50代女性:
高い。高すぎて買えないけど買わないといけない。すぐなくなるから、うどんやパスタに替えている。今は、ひと粒でも残さず食べないともったいないと思って、貴重なお米になった。白米が大好きで朝ごはんはしっかり食べる派なので、安くしてもらいたい。

コメは月に10kg程度 70代女性:
私たちは高齢者だから、少々高くてもおいしいお米を食べたい。できればもう少し下がってほしいけど農家さんのことを考えたら仕方がない。

一方、コメの生産者は…。2025年は寒さの影響で、燃料費が例年以上にかかっていると言う。

農家 30代男性:
僕たちからしたら上がった方が良い。値段は妥当と言えば妥当だけど、買う人からしたら高いでしょうね。できるだけ食べてほしい。

飲食店は値上げしても「おわかり無料」維持

ランチでごはんのおかわりを無料にしている飲食店は、コメの仕入れ値が2割ほど上がり、一部メニューの値上げに踏み切った。

シキドオリ こはる食堂 足利義貴代表:
値上げのタイミングは、4カ月前ぐらいの、お米が一気に上がったとき。農家も大変だと思うので、しょうがないと思う。お客さんにお腹いっぱい食べてもらいたいという思いだけ。おかわり自由は今後も変わらずやらせてもらう。

お店では1日7升のコメを使っているという。色々な物が値上がりしているが、お米が一番値上がりしているとのことだ。今後も値上がりが続いていくと、コメ離れにつながっていくことが懸念される。

宮崎2区選出の江藤拓農林水産大臣は、今回の備蓄米放出で流通の改善がみられない場合は、さらに追加で放出するとしている。

(テレビ宮崎)

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