石破首相が高額療養費の負担上限額引き上げに関して判断を二転三転させている状況について、3月12日放送の関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した橋下徹氏は、「明らかに石破総理の選挙対策!でも変わることは悪いことじゃない」と持論を展開した。

■【動画で見る】橋下徹が解説 高額医療費めぐる二転三転は「選挙対策」「変わることは悪いことじゃない」

橋下徹氏「旬感 LIVE とれたてっ!」より
橋下徹氏「旬感 LIVE とれたてっ!」より
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橋下徹氏:選挙対策は間違いないです。だって7月に参議院選挙があるんですから。そこで不利にならないように、これを押し通すと不利になると。

■高額療養費問題を野党は7月参院選で「大争点化する」と橋下氏

石破首相は高額療養費見直しを見送ったものの、野党が参院選で争点化して有利に運ぶことになるのではないかと、橋下氏は分析する。

石破首相の見送り判断は選挙対策のはずが野党有利に?
石破首相の見送り判断は選挙対策のはずが野党有利に?

橋下徹氏:ただよく考えてみれば、高額療養費制度の負担上限引き上げについて、結局決まらない状態でしょう。野党の攻め方は簡単ですよ。『強行されないために、ぜひ自民党を過半数割れにしてください』『野党が過半数を持たないと石破さんが強行するかも分かりません』と言って争点化しやすくなった。

橋下徹氏:いま国会で立憲民主党の議員が、『参議院選挙が終わったら、また引き上げるんじゃないか』と詰め寄り、石破さんは『しません、しません』と言っている。政治家の『しません』はあてにならないじゃないですか。これは選挙で大争点化します。結構、野党有利になるかなと思います。

■野党は「『二転三転してください』って言わなきゃいけない」と橋下氏

石破首相の判断が二転三転したことを批判する野党に対して、橋下氏は、「これはダメ。二転三転なんてこれからの政治では当たり前にしなきゃいけない」と主張する。

二転三転した石破首相の判断
二転三転した石破首相の判断

橋下徹氏:今まで自民党と公明党が過半数を持っていましたから、事前審査制といって、国会に出す前にもう自民党と公明党で決めたことは、国会では全く変わらないような政治を今までやってきた。

橋下徹氏「旬感 LIVE とれたてっ!」より
橋下徹氏「旬感 LIVE とれたてっ!」より

橋下徹氏:今は少数与党で自民・公明で過半数ないわけですから、野党の言うことも聞かないといけない。二転三転がダメだと言ったら、野党が何を言っても聞くなってこと。与党が決めたことを押し進めろということになるから、野党も昔ながらの攻め口はやめて、高額療養費の負担引き上げの何が問題なのかというところを攻めたらいい。『今後も二転三転してください』って言わなきゃいけない。

■がん患者の視点から北斗晶さんが高額療養費制度の重要性訴える

番組に出演した北斗晶さんは、乳がんを患った経験から、高額療養費制度の見直しが患者の命に関わる問題であることを訴えた。

北斗晶さん「旬感 LIVE とれたてっ!」より
北斗晶さん「旬感 LIVE とれたてっ!」より

北斗晶さん:一患者として言いますが、患者の負担が増えるという話だったじゃないですか。でも、がんは長期にわたって治療しなきゃいけない場合もあるわけです。例えば私の場合は、胸をとって、その後に抗がん剤やって、放射線治療をやってと長い治療で乗り越えてきているわけです。

北斗晶さん:その負担とかを考えたら、これって命に関わることだと私は思うんです。『お金が大変だから』とか『年だしお金がかかるんだったらもういい』と言ってしまう人もいると思うんです。

長い治療を乗り越えた北斗晶さん
長い治療を乗り越えた北斗晶さん

北斗晶さん:7月の選挙で“嫌われたくない”とかだったら、『そんなことで変えるな、人の命に関わることだ』ということを私は強く言いたいです。(本人や家族の人生設計が)変わるんです。

そして「2人に1人ががんになると言われていて、そんな中で医療費が高い、国に負担がかかると考えられていますけど、やっぱりみんな家族の命を守りたいと思う」と、高額療養費の自己負担引き上げに反対する考えを述べた。

■高額療養費制度「ここに手をつけるのは最後の最後」

日本の財政状況を踏まえて、社会保障費を見直すとしても、高額療養費を見直すのは「最後の最後」でなければいけないという見解を橋下氏は示した。

橋下徹氏「旬感 LIVE とれたてっ!」より
橋下徹氏「旬感 LIVE とれたてっ!」より

橋下徹氏:“保険”というのはそもそも大きなリスクに備えるもの。高額療養費制度は、大きな病気になって、多額のお金を出費する人を救おうとする制度。これから医療保険を維持するために、どこからかもらわなきゃいけないとなったとしても、ここに手をつけるのは最後の最後。

橋下徹氏:まずやらなきゃいけないのは小さなリスク。僕がやらなきゃいけないと思うのが、かぜ薬とか、湿布薬とかをみんな保険で安く手に入れるんですけど、これはみんな普通にお金を出して買いましょうと。

橋下徹氏:でも、一般市販薬を保険から外すことは医師会が猛反対。今回の石破さんがやろうとした見直しについては、医師会はあまり反対の声を上げていない。自民党は医師会の声を聞いて、医師会が反対しないようなところに手をつけたとしか思えない。国民のことを考えたら高額療養費に手を付けたらダメです。

■政治家の役割とは何か

高額療養費の話題から発展し、最後に橋下氏は“政治家の役割“について持論を述べた。

橋下徹氏「旬感 LIVE とれたてっ!」より
橋下徹氏「旬感 LIVE とれたてっ!」より

橋下徹氏:医療費の問題に限らず、資産を持っている人、所得のある人がそれぞれ少しずつ負担するという『応能負担』の大原則。この大原則を国民に問うていくのが政治家の役割。それをやっていない。

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年3月12日放送)

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