中野洋昌・国土交通大臣が12日、新年度に向けた引っ越し集中を緩和するため、時期の分散を呼び掛けた。2025年は、入学や転勤で3月15日から4月6日にかけて混雑すると予想されている。さらに、燃料高騰やトラックドライバー不足で、引っ越し料金は上昇する可能性があるという。
春の引っ越し集中…2024年問題でさらに深刻化
あと1カ月もすれば就職や入学、転勤など新生活の春がやって来る。考えなくてはならないのが、今の家からの引っ越しだ。そんな中、国交省が異例の行動に出た。13日のテーマは、「大臣が引っ越し時期の分散呼びかけ。ソレってどうなの?」だ。

12日、中野国交相は会見で、引っ越しシーズンが本格化する目前の今、こう呼び掛けた。
中野国交相:
引っ越しをご予定の皆さまは、トラックドライバーの労働負荷の軽減や、スムーズな引っ越しのためにも、混雑時期をできるだけ避け、引っ越し時期の分散に向けてご検討、ご協力をお願いいたします。
この呼びかけについて、街の人に話を聞いた。
街の人:
転勤の時期が被って、仕方ないといえば仕方ないんじゃないですか。学生も上京してくる時期は固定だし、他の人たちがどれだけバラけさせられるかですかね。先に公務員の人がずらした方が良いと思います。
街の人:
4月とか引っ越し料金高いので、分散できた方が(時期の)集中が無くなって良いかと思いますが、どうやって実現するのかはよく分からないです。
街の人:
運送業の人手不足も日常的にニュースで流れているので、良いことだと直感的には思いました。会社も引っ越し、転居の時期は猶予を持って、早めでも遅めでも良いという対処をすると思うので、良い取り組みなのかなと。

引っ越し料金は年々、値上がりしている。比較サイトによると、3月の引っ越し料金の相場は、2023年は家族世帯が平均20万2997円、単身者が平均12万999円だったのに対し、2024年の平均は家族世帯だと22万8000円、単身者でも12万6122円となり、2025年はさらに値上がりする可能性があるという。

国交省によると、2025年は3月15日から4月6日にかけて特に混雑が予想されている。
また、2025年はトラックドライバーの時間外労働が原則「年間960時間」に規制されて初めて迎える年度末だ。その為、ドライバーが不足する恐れがある。

東京・文京区にあるKIZUNA引越センターでは13日、新年度の前に引っ越しをしようとするお客さんからの問い合わせが殺到していた。既に3月はスケジュールが埋まり始めているという。そこでコールセンターでは、こんな提案をしていた。
コールセンターのスタッフ:
月末最終の土日はかなり混み合っていて、金額はかなり高くなってしまうんですが、可能であれば4月に入ってからのご対応は難しいでしょうか。4月12、13日でいけるのであれば、(金額が)万単位で変わってきます。
KIZUNA引越センター・遠藤充営業部長:
1日、お問い合わせの数でいくと400件前後です。問い合わせは日々増えていて混み合っています。毎年3月、特に3月後半は引っ越しが殺到して、最終的には引き受けできないほど予約が埋まる状態になっています。

それ以外の理由でも、引っ越し料金を値上げせざるを得ない状況だという。
KIZUNA引越センター・遠藤充営業部長:
数年前からの燃料高騰に始まって、2024年問題、そういう部分で段ボールなどの資材、その他の資材も値上がりしているので、どうしても料金に転嫁せざるを得ない所はあります。(2024年の価格から)平均して10~20%はどうしても上がってしまってて、正直上げないと苦しいです。
「60~70万ぐらいした」引っ越し料金高額に
SPキャスターパックン:
引っ越し屋さんだけでなく不動産屋さんとか物流の方々とか、色んなところに波紋があると思いますが、個人の努力を呼びかけるのではなく、改革を起こしましょう。退社、入社、転勤の4月縛りを解消して、もう少しバラバラにしませんか。
街の人に、引っ越し料金を高いと感じるかどうか意見を聞いた。
街の人:
業者を使いました、60~70万ぐらいしたんじゃないですかね。友達にも手伝ってもらいました。彼女と同棲することになって、向こうは向こうで掛かって僕は僕で掛かる感じで、僕の方を抑えたって感じです。
街の人:
結構引っ越し多くて、2年ごとに引っ越していました。30万ぐらいですね。この時期高いですよね、業者も。

国交相の「引っ越し時期の分散」発言を受け、13日、経済同友会の新浪剛史代表幹事はこのように述べた。
経済同友会・新浪剛史代表幹事:
企業としても、なるべく努力することはやらなくてはいけないと思いますが、お子さんがいる方は入学式に合わせて移動しないと大変厳しいですよね。入学式は大変重要ですから。国交省だけでなく文科省とも4月15日にするとか話す必要がありますね。
大臣の異例の呼び掛けで広がる引っ越し時期分散の波紋だが、答えを出すのは簡単ではないようだ。
(「イット!」2月13日放送より)