2022年、当時新潟市議会議員だった60代男性からストーカー行為などのいやがらせを受けたとして、被害女性が起こしている民事裁判。元市議の男性は「一部の発言は事実無根で、名誉棄損にあたる」と反訴していて、両者の主張は真っ向から対立している。
約2年に及ぶストーカー行為などの嫌がらせ
「現在までやっぱり毎日毎日、車体の下を見る。終わらない。ずっと毎日毎日、もう癖になるぐらい。ちゃんと見ないと、どこで何されているか分からないので」

いまの生活の様子についてこう語るのは、2020年から2年以上にわたり、車にGPS装置をつけられ監視されるなどのストーカー被害を訴えている新潟市に住む40代女性だ。
そのストーカー行為に及んだとされたのが、当時、新潟市議だった60代男性。
2022年9月に女性への付きまとい行為があったとして、ストーカー規制法違反の疑いで逮捕され、罰金30万円の略式命令を受けている。
この件もあり、男性は翌年に行われた統一地方選挙への出馬を取りやめた。

このほかにも、女性の知人男性への怪文書の送付、女性が経営していたサロンへの虚偽の通報などの迷惑行為が相次ぎ、経済的・精神的損害を受けたとして、女性は約600万円の損害賠償を求めて、元市議の男性を2023年に提訴。
裁判で探偵とのやりとり問われるも…
1月27日に開かれた裁判で、被告の元市議の男性は「女性の素行調査を探偵に依頼したが、違法なことはしないように伝えた」と説明した一方で…
原告代理人弁護士:
あなたと探偵とのやりとりで「探知機外れた?」と書いてあるが、これはあなたが送った?
元市議の男性:
覚えていない。分からない。
GPSを使用していたことへの認識や当時の探偵とのやり取りに関しては「覚えていない」と回答。
また、鈴木雄輔裁判長からも探偵とのやりとりの中で「位置情報記録」という言葉が出てきたことについての質問が飛んだ。
裁判長:
「位置情報の記録では…」というメッセージが探偵からあなたに送られている。これは当時なんのことだと認識していた?
元市議の男性:
言葉通りに受け止めていた。
裁判長:
その位置情報というのはどこから来る情報だと思った?
元市議の男性:
ちょっとよく分からない。
裁判長:
GPSだとは思わなかった?
元市議の男性:
よく分からない。
裁判長:
何らかの機械を使っていると推測できるが?
元市議の男性:
そうかもしれない。
裁判長:
違法な調査とは思わなかった?
裁判長:
いま言われるとそうかなと思うが、この瞬間はそうだとは思わなかった。
元市議の男性も女性への名誉棄損で損賠賠償求め反訴
このほか、知人男性への怪文書の送付は「女性がだまされていると思い、正義感でやった」ということや、保健所に対する虚偽の通報は「噂を聞いてやった」などと説明した。

一方、元市議の男性は「車にGPSを取り付けたのは元市議」など事実に反する女性による一部の発言は名誉棄損にあたると主張。
市議選への出馬を断念せざるを得ない状況に追い込まれたとして、約160万円の損害賠償を求め反訴している。
27日の裁判では被害女性も証言台に立ち、「事実無根」として反訴されていることについて説明した。
被告代理人弁護士:
地元紙や週刊誌の取材に対し、あたかも元市議の男性がGPSをつけたとも受け取れる表現もあった。当時、報道の記事のチェックは?
原告の女性:
なかった
被告代理人弁護士:
被告から反訴されてから、地元紙に連絡は?
原告の女性:
していない。ただ、放置しているのではなく、過大過小の違いはあったかもしれないが、犯行全体として間違っている内容ではないという認識でいた
また、質問は原告代理人の弁護士からも及んだ。
原告代理人弁護士:
GPSをつけた人の話で、当時取材にはGPSをつけた人は被告自身がつけたと言った?
原告の女性:
言っていない。ストーカーがつけたという認識で話していた
約4時間にわたる裁判が終わり、法廷で男性の証言を聞いていた女性は…
「誰を犯人として警戒したらいいのかも分からない状態で2年半も過ごさせられたというのは、私にとっては十分な被害。そういうことにおいて、受けてしまった損害だとか、そういうものはぜひ認定していただきたい、分かっていただきたい」
裁判は4月17日に最終弁論が行われる予定だ。
(NST新潟総合テレビ)