大きな2つの目、人間のように動くアーム…。まるでアニメやSFの世界から飛び出したかのようなヒト型ロボットが高い柱にペンキを塗っている。作業員の安全を守る「多機能鉄道重機」が広島県内で初めて稼働した。
高所の塗装や木の伐採もまかせて
広島・呉市のJR安浦駅。何やら人間の形をしたロボットが柱にペンキを塗っている。

広島カープのマスコット「スラィリー」にどこか似ているヒト型ロボット。ずんぐりとした体に太い首、それでいて小顔?
これは高所におけるメンテナンス作業の生産性・安全性の向上を目的に開発された「多機能鉄道重機」で、JR西日本が2024年7月に導入し、広島県内では2025年1月22日に初めて稼働した。

遠隔操作で重さ40キロの荷物を持ち上げられるほか、最大で高さ12メートルでの高所作業が可能だ。アームの先端にあるアタッチメントを交換することで、塗装作業だけではなく、樹木の伐採や機材の取り付けなど様々な作業を行える。
作業員が3割減!労働事故も減らせる
一体、どのようにロボットを操縦しているのか?

オペレーターがVRゴーグルを装着し、ロボットの視点で撮影された映像を見ながら手元の操縦かんを操作。腕の動きと連動してロボットのアームが動く仕組みなので、直感的に操作することができる。作業に要する人員が従来より3割ほど減少し、作業員の安全性の向上も見込まれるという。

JR西日本・広島電気技術センターの進藤純一郎所長は「この機械を活用することで、労働力・生産性の向上や労働安全に関しても大きく貢献してもらえると期待しています」と話す。今後は信号機の取り換えやトンネル内の清掃など様々な分野で活用を目指している。
現在、JR西日本はこのヒト型ロボットの名前を募集中。2025年2月28日までJR西日本のホームページで応募を受け付けている。危険を伴う高所のメンテナンス作業を人に代わって行う「多機能鉄道重機」。広島カープのスラィリーのように愛らしく頼もしい存在になりそうだ。
(テレビ新広島)