バレーボールのトップリーグ、SVリーグのオールスターゲームが2025年1月、石川県かほく市で開かれた。会場にはSVリーグPRアンバサダーの大林素子さんも登場したが、オールスター戦を前に大林さんは、被災地の現状を知ろうと輪島市を訪れていた。
大林素子さんが能登へ
「こんにちは!大林素子と申します」大林さんはこの日、輪島市朝市組合の冨水組合長を訪ねた。「寒いところ、ありがとうございます」朝市通り周辺を見た大林さんは「地震前に何回か来たんですけれど、どこからどうなっていたかわからない」と話した。冨水組合長は「私はすぐそこで、祖母の代から50年、出店をさせていただいておりましたけれども、周りが一変してしまった」と説明した。

日本三大朝市の1つで、輪島を代表する観光名所、輪島朝市のあった朝市通り。公費解体は2024年6月から始まり、2024年度中には更地になる見通しだ。冨水組合長は「ここで輪島朝市を復興するというのが我々の最終目標。輪島朝市の火を消さないように私も頑張りたいと思っています。とにかく1年でも早くこの場所に戻って新たな朝市を出店させてもらえたら」と話す。

大林さんが「私たちは何ができるんでしょうか」と問いかけると、冨水組合長は「道路事情とか宿泊事情が悪いということで、そこが足かせとなって復興のペースも遅れていると僕は思うんです。マンパワーっていうものが圧倒的に足りないと思いますので、輪島だけじゃなくて能登全体にみなさん躊躇されるかもですけれども、ボランティアなどで来ていただいてぜひマンパワー、力を貸していただけたら」と答えた。大林さんは「私も何か、新たなものができていく1つの石でも積み重ねられるようになりたいなと思いました」と話した。
朝市の出店者と触れ合う
続いて大林さんは地元の商業施設の一角を借りて「出張輪島朝市」を開く人たちのもとを訪れた。出店者の1人は「わざわざ来てもらってありがとうございます」と話し、この時期採れる天然の岩ノリを見せた。「不思議なことに、今までのノリ畑には全くできなくて、隆起してこれまでは海の底だったところにこの岩ノリができ始めてきたんです。地震で家がダメになって豪雨で水害でもダメになって田んぼも畑もダメになったんだけど、ノリだけができてくれて天からの贈り物だ!ってすっごいおばあちゃんたちが喜んで今、一生懸命採っているんです」大林さんは「みなさんの元気になろうとされている思いを感じました。頑張ります、私たちも!頑張ってくださいと言うのも良いんですけど、私たちも頑張って応援するということを宣言させていただきます」と話した。

次に大林さんが訪れたのは一本松総合運動公園体育館サン・アリーナ。輪島市教育委員会の平田勝さんが案内した。「今、ここの体育館は物資置き場として使っております。屋根の方に被害があったり外壁とかが崩落して体育施設としては使えない状況」

この体育館では能登半島地震の2カ月前、Vリーグの公式戦が行われていた。「私もラインジャッジで。市役所職員で4人、できるものがいますので」大林さんが「今後、体育館はどうなっていくんですか?」と聞くと、平田さんは「最終的には元通りに修繕して何年先になるのかは分からないんですけれども、公式戦ができるような体育館として復活したいなと思います。PFUさんもここが復旧したら、ここで公式戦をやりたいと言っていただいているので、その時期が早く来ればいいなと思っています」と話した。それに対して大林さんは「こけら落とし公演には私も来て解説をしたいと思います」と誓った。
“公式戦で1勝”を目指して
大林さんが最後に訪ねたのは輪島中学校の女子バレーボール部だ。バレー部の顧問、岸先生は「実はしばらく女子バレー部はなかったんですけど、この子たち全員1年生で全員素人で、休部状態だったのを、この子たちが入ってバレー部が活動を再開した」と紹介した。

大林さんが「目標はなんでしょう」と聞くと、部員たちは「試合で…公式戦で1勝」と答えた。公式戦ではまだ勝ったことがないという輪島中女子バレー部。部員たちがオールスターゲームでコートの床を拭くモッパーを務める縁もあり、大林さんが特別指導を行った。「1つやりたいのはミート。サーブとかスパイクを打つときにこうやるじゃない?ポンポポン…。そうそうそう…すごい!」とボールを床に向かって叩く練習を部員たちと行った。「このミートが絶対に大事。これできないとサーブとスパイクがきれいにならないくらいすごい重要。なぜかというと、このミートがしっかりやれているとスパイクもサーブも全部同じミートだから」

体育館が避難所となっていたため、バレー部がここで練習できるようになったのは2024年9月。バレーの技術はこれからが伸び盛りだ。大林さんは「2年3年になってくると、だいぶ筋力もついて慣れてくるので、今届いてない人も入るようになってきますので、安心してください。そのためには、ポンポポンは絶対忘れないで」とアドバイスした。部員たちは「めっちゃ勉強になった。ミートのやつ、いつもほかの人たちがやっていて『何あれ?バスケじゃないんやから』って思ってたけど、きょう見て良かった」とうれしそうに話した。大林さんは「オールスター戦くるんでしょ?選手たちはみんなやってるから。ミートどうしてるとか、サーブどうしてるとか選手の打ち方を見たらわかるし、そう思って見るのもいいと思う」と声をかけた。

最後に大林さんからサイン入りのボールが部員たちに手渡された。サインの横には『自信は努力から』と書かれている。「自信がないっていうのは、自分が努力していないとか、できていないとか、自分で勝手に思っちゃっているところもあると思うので。頑張ってやって、私はこれだけやったんだから大丈夫ってやれば、試合も怖くないのでぜひ頑張ってください」

1日の終わりに大林さんは「朝市からいろいろと回らせていただいて、その場所を訪れるとより痛みを感じたのと同時に、もっとはやく来るべきだったっていう自分の反省があります。オールスター戦をきっかけに今回、県外からも石川に足を運ぶ人も多いと思いますので、その方々が少しでもそういったものを感じて発信して、復興の力になってほしい。そしてまた再びここを訪れたいと思います」と話した。
(石川テレビ)