長野市の中心市街地にある「西鶴賀商店街」で、レトロな雰囲気と人情味ある街並みに魅力を感じた若い世代が新たな店を次々と出店している。かつては店舗数が減少の一途をたどっていたが、築90年の「9軒長屋」のリノベーションをきっかけに、昭和の風情を残しつつ新しい風が吹き始めている。飲食店や古着屋など、多彩な業種の若手経営者たちが、この商店街の魅力を再発見し、にぎわいを取り戻そうとしている。

「街に一目ぼれ」若手が続々出店

繁華街・権堂の東に位置する西鶴賀商店街。

現在約50店舗が営業している中、2024年10月にオープンした「こよいのお酒『あお葉』」。

こよいのお酒「あお葉」
こよいのお酒「あお葉」
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店主の青山栄里さんは「この街の雰囲気に一目ぼれしたのが、ここで始めるきっかけに」と語る。

日替わりのおばんざい盛セットなど、酒に合った料理を提供し、近隣住民からも好評だ。

昭和の風情残る2.5キロの通り

東西およそ2.5キロにわたる西鶴賀商店街は、かつては100店舗を数えたが、景気低迷などの影響で現在は半減した。

西鶴賀商店街
西鶴賀商店街

しかし、大通りからやや離れていることで再開発が進まず、逆に昭和の風情が残る街並みとなっている。

築90年「9軒長屋」が新たな顔に

市街地活性化に取り組む企業「まちづくり長野」は、建築士会と協力して空き家・空き店舗のリノベーションを進めている。

その一環として、築90年の「9軒長屋」の改装に着手。

「9軒長屋」
「9軒長屋」

まちづくり長野の越原照夫取締役は「昭和の匂いがする街が市内で残っているところがここしかなかった」と、その魅力を語る。

人の温かさに触れる街の魅力

こよいのお酒「あおば」も「9軒長屋」のうちの1軒。

通りに面した壁はガラス張りにして、気軽に立ち寄れる雰囲気にした。

こよいのお酒「あお葉」
こよいのお酒「あお葉」

店主の青山さんは「人の温かさに触れられるいい街、素敵な街。地元の方と新しく街に来た方が、このお店でつながりができればいいな」と期待を寄せる。

この人情味も、若い世代を惹きつける要因となっている。

大学生が古着屋をオープン

青山さんのように街の魅力にひかれ、「9軒長屋」で店を始めた学生もいる。

「古着屋 嬰」を大学の友人と営む中川亮さん(22)、長野県立大学の4年生だ。

大学の先輩が営んでいた古着屋が閉店することになり、それを引き継ぐ形で2024年4月に店を開いた。

古着屋 嬰
古着屋 嬰

中川さんは「最初に見たときはすごいディープな街だなと思ったのが第一印象」と語り、昭和の雰囲気に魅了されたという。

本格インド料理店も新たな顔に

10月、「9軒茶屋」から少し離れた場所にも新しい店がオープンした。

インド料理の店「spice bar gambheer」。

オーナーは越智健三さん(37)。地域おこし協力隊員として長野市に移住。長野に残って本格的なインド料理店を開きたいと、物件を探している中、西鶴賀を紹介された。

「spice bar gambheer」 
「spice bar gambheer」 

越智さんは「昔ながらの商店街という雰囲気があり、昼は人は少ないが全くいないわけではない、可能性がありそう」と、西鶴賀の将来性を感じている。

昭和の香りを残しつつ新しい風が

45年間食堂を営む商店街会長の広瀬正夫さん(68)は「若い人が来れば、自分たちも頑張ろうという気持ちに」と、新店舗の出店を歓迎している。

西鶴賀商店街
西鶴賀商店街

西鶴賀商店街では、古い建物のリノベーションが少しずつ進み、昭和の香りを残しつつ新しい風が吹いている。若い世代の参入により、この古き良き商店街に新たな活気が生まれつつある。

(長野放送)