歌手で俳優の中山美穂さん(54)が、東京都内の自宅で亡くなっていたことがわかった。
6日正午過ぎ、東京・渋谷区の自宅で、歌手で俳優の中山美穂さんが亡くなっているのが見つかった。

「ヒートショックを防ぐには」クリニック院長に聞く

中山さんの死因について、捜査関係者によると現場や遺体の状況から、浴室に入った際に急激な温度変化により体に悪影響をもたらす「ヒートショック」や何らかの理由で浴槽で溺れた可能性もあるという。

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ここからは呼吸循環についてくわしい「いとう王子神谷内科外科クリニック」の伊藤博道院長に聞く。

ーー(青井実キャスター)まだ亡くなった理由だと断定されたわけではありませんが、ヒートショックは季節の変わり目、特に冬に多い印象があります。くわしく見ていきましょう。

木村拓也キャスター:
ここから先はまだ中山さんの死因が分かっていませんので、あくまで一般論としてお伝えしていきます。

「ヒートショック」ってそもそも何なのかというところでいうと、急激なこの暑い・寒いの急激な温度変化によって、 血管の伸び縮みだったり、血圧が変わって、心臓・血管の疾患というものが起きやすいというようなもので、健康被害ということなんですね。
実際確かに、6日朝も今シーズン最も低い、東京都心も5.2度の気温だったということがあります。

ーー(青井キャスター)そのあたりも伺っていきましょう。伊藤さん、その5.2度という気温なんですけれども、このヒートショックが起きやすいという可能性もあるんでしょうか?
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:

そうですね、やっぱり急に寒くなりましたから 急激に寒くなったところで、入浴前にまずは体が冷えて血圧が上がる。 その後に浴室、浴槽に入ってですね、温度が上がった時に血圧が下がる。ヒートショックが起こりやすい環境だと思います。

ーー(青井キャスター)そして浴槽の危険についても見ていきましょう。

木村キャスター:
実際その自宅の中でも、最もヒートショックにかかりやすいといわれているものの1つが、やはりお風呂場なんだそうです。なぜなのかと言いますと、先ほども先生からご指摘がありましたけど、寒い部屋だったり、脱衣所も大きく冷えたりするところがあると思います。そこから温かい浴室だったり、浴槽だったりに入ったりして、そこからまた脱衣所に戻ってきて寒くなったりということで、急激に血管が広がったり縮んだり、血圧も急激に上がったり下がったりということでヒートショックになってしまうことが多いと。

この死亡する事故の原因としても数えられているヒートショックですけれども、年間で全国約1万7000人ぐらいがヒートショックが要因で亡くなっているという推計もありまして、これは交通死亡事故よりも数としては多いともいわれているそうです。

ーー(青井キャスター)橋下さん、ヒートショックは冬場、本当に多いですよね。
スペシャルキャスター・橋下徹さん:

あまりリアルタイムで報じられないので、数とかはあまり認識ないんですけども、この死者数ということを聞くとかなり大きな多い数ですからね。

ーー(青井キャスター)非常に多い中ですけれども伊藤さんにも聞いていきましょう。伊藤さん、高齢者が非常に多いという印象なんですけれども、50代の女性でも十分に考えられるということでしょうか?
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:

そうですね、最近では若い方もいますし、ちょうど40代・50代になりますと、血管がだんだん固くなってくる、動脈硬化も進んでいきますので、より血圧が乱高下しやすいということもあると思います。

ーー(青井キャスター)脱衣所などで寒いということはよくあるんですけれども、お風呂に入るまでというのは異常だったり、ちょっとまずいなというふうに気づかないものでしょうか?
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:

そうですね、外気温が低いので、寒いのはおそらくそんなに違和感がなくて、寒いからむしろ早く湯船に入って体を温めようという防御本能みたいなものが働くと、その短い期間に、急激に温度が変化するということが、逆にあだになってしまうということもあるのかなというふうには想像します。

ーー(遠藤玲子キャスター)ヒートショックの初期症状みたいなものっていうのはあるんですか?何か予兆的なものっていうのはあるんでしょうか?
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:

おそらく最初に血圧が上がったと予想されますので、いったんちょっと頭が痛いとか、重いとかっていう感じがあったあとに、浴槽の中で血圧がどんと下がったと。体が温まって下がったときには、意識がなくなって、ボーッとしてきていると思うんですよね、ここで誰か助けを呼べれば、まだ、あるいは誰か周りの人が気づいてくれれば、少し早い対処ができたかもしれませんけれども。それはもし1人で浴槽の中で意識がなくなったまま、そのまま時間がたつと命に関わるということがあるのかなというふうに想像します。

ーー(青井キャスター)そういう意味では初期症状の場合、助けを求めるのが一番だということはあるんですね?
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:

そうですね、誰かの助けを借りないと、自分でなかなかリカバリーすることが難しいかもしれませんけど、もし意識が少しあったら、浴槽から出て、足を心臓よりも高いところに入れるなど、なりふり構わず横になって、足を少し上げて血圧を保つと。中層の血圧を保つ意識がとにかく完全に切れないようにして、心臓や脳の血流を保つということが大事かなというふうに思います。

お風呂の外と内の温度差を10℃以内に

ーー(青井キャスター)そのお風呂の温度であったり、浴室の温度設定みたいなのは、どういうふうに考えればよろしいでしょうか?
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:

一般的には、やはり41℃以上の浴槽の温度はリスクといわれています。ですから温かめのお湯が好きな方でも、39℃かせいぜい40℃ぐらいにするとか。あと最初はやっぱり、ぬるめのお湯で入って、少し温めるのであれば、緩徐な変化なのでリスクは少ないかなということと、あとは外と内の温度差が10℃以上になると、やっぱりリスクがあるといわれていますので、浴室も少し温める。それから浴槽のふたもできれば外して、湯気で浴室を温めておくと。こういった工夫が必要かなというふうに思います。

ーー(青井キャスター)その10度の差というのは、脱衣所であったり、そこと浴室お風呂の中を10℃以内に収めるのが防ぐことになると。
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:

そうですね、目標は10℃以内。なかなか難しいかもしれませんけど、脱衣所も温めるということが本当はいいかなというふうに思います。

スペシャルキャスター・橋下徹さん:
これは本当に認識不足だったんですけど、ヒートショックって、暖かいところから寒いところに行くとばっかり思っていたんですけど、逆もありうるということはまったく認識不足でした。

ーー(青井キャスター)あるということですね。
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:

その寒いところに行ったときの血圧の急激な上昇も、これもヒートショックで、血圧が高いので脳出血を起こしたり、 大動脈解離を起こしたり、これもヒートショックの心血管系のトラブル、脳血管系のトラブルなんですね。ただそのあとに血圧がどんと下がる、これもヒートショックなので、両方気をつけなければいけないんですよね。

ーー(遠藤キャスター)伊藤院長、例えばこういう体の状況、不調だったり何かあるときは、なるべく浴槽に入る、お風呂に入ることは控えた方がいいとか、何かこの時期気をつけることというのはありますか?
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:

そうですね、やっぱり今回、朝というのが1つあだになったのかなと。急激に寒くなったこの朝に、おそらく準備の段階で湯船に入ったということを考えると、寒い朝に浴槽にあわてて入るというのは、少しリスクになるのかなということはちょっと考えるところはありますね。

ーー(青井キャスター)伊藤さん、皆さんこの冬場に気をつけていただきたいわけですけれども、あらためて防ぎ方を教えていただけますか?
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:

1つは、急激に寒くなるというのは、ある程度、天気予報、気温の予想もありますので、特に今、寒暖差が大きいですから、寒い日はですね、急激に温かい浴槽に入らないようにするとか、部屋と浴室の温度差を減らすなどの十分な注意と、それからお風呂に入るとき、周りの人に一声かけて連携を取り合うということを心がけていただくといいかなというふうに思います。
(「イット!」12月6日放送より)