ジョージアの首都トビリシで2日、政権与党が2028年までEU加盟交渉を停止すると表明したことに反発し、5日連続で大規模な抗議活動が行われた。
数万人が参加し、デモは深夜まで続き、220人以上が拘束された。

5日連続の大規模抗議活動…警察をデモ隊の衝突も

旧ソ連のジョージアでは、EU(欧州連合)への加盟交渉を停止すると表明した政権に対し、5日連続で抗議活動が行われた。

ジョージアでの抗議活動
ジョージアでの抗議活動
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ジョージアでは、ロシア寄りの政権与党が2028年までEUへの加盟交渉を停止すると表明したことに反発し、5日連続で抗議活動が行われた。

拘束されるデモ参加者
拘束されるデモ参加者

2日は、首都トビリシの議会前に数万人の親欧米派が集まり抗議の声を上げ、警察が催涙弾を発射したり、放水砲などを使用するなどして、デモ隊を解散させようとしたが、抗議集会は深夜まで続いた。
これまでにデモ参加者など、220人以上が拘束されたという。

親ロシア政策への転換

ここからは、フジテレビ・立石修解説委員室長が解説する。

青井実キャスター:
ーージョージアといえば、日本人にとってはSNSで人気のレジャバ駐日大使や最近ではワイン発祥地としても評判です。ただロシアにつくか、ヨーロッパにつくかで激しいデモが起きているわけですが、くわしく見ていきましょう。

フジテレビ・立石修解説委員室長:
もともとジョージアは、旧ソビエト連邦から独立した国なんですが、2008年にロシア軍の侵攻を受けました。それ以降、国の大きなテーマとして、反ロシアの立場でEU加盟を目指してきたわけです。アメリカの調査になりますが、80%近い市民がEU統合を支持しているという状況です。

青井キャスター:
ーーその状況の中で、なぜ対立が起きているんですか?

解説委員室長・立石修さん:
カギを握るのが、2024年に首相に就任したコバヒゼ氏です。まだ46歳と非常に若い人物です。彼が“親ロシア”にかじを大きく切っています。「反LGBT法」や外国の団体の資金規制する「反スパイ法」など、プーチン政権に非常に近い政策をとっています。

そして、10月の議会選挙で勝利後に、これまで続けてきた「EU加盟交渉を4年間凍結する」ことを発表しました。これに反発したEU支持派の市民たちが、1日から議会前で非常に激しい抗議デモを始めました。催涙弾なども発射され、デモというよりも衝突が起きている状態です。首相側の選挙の不正を指摘する声も上がり、対立は根深い状況になっています。

「戦争に備えよ」ヨーロッパで緊張高まる

宮司愛海キャスター:
ーーウクライナでも、2004年にEUをめぐってデモが発生したと思いますが、重ね合わせて見てしまうところがありますね。

フジテレビ・立石修解説委員室長:
プーチン氏に近かった当時の政権がEUとの加盟交渉を打ち切り、それに反発した市民の抗議活動が起きました。しかし、これによってプーチン氏がクリミアに軍を派遣して制圧する事態になって、今の状態につながっています。プーチン氏は、今のジョージアの状況を非常に注視していると思います。

青井キャスター:
ーーこの状況が、ヨーロッパに広がるおそれがあるということですよね?

解説委員室長・立石修さん:
ジョージアは決して大きい国ではありませんが、黒海を挟んでウクライナに面しています。非常に“要衝”とも言える位置です。EUにつくか、ロシアにつくかでヨーロッパの状況が大きく変わってきてしまいます。スウェーデンなどでは、すでに「戦争に備えよ」という内容のパンフレットを配布するなどして、ヨーロッパの緊張が高まっている状況です。
(「イット!」12月3日放送より)

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