紅葉が見頃を迎える京都では今、多くの外国人観光客が絶景を求め訪れている。その京都は昨今、オーバーツーリズムが問題になっていて、2024年秋から新たなインバウンド対策を導入した。「イット!」は新対策の効果について現地を取材した。
見頃の紅葉求め京都は“すし詰め”
3日、19度に迫るポカポカ陽気となった京都・嵐山。
この記事の画像(28枚)風情ある街並みと紅葉が織りなす嵐山の絶景を見ようと、多くの外国人観光客が訪れていた。
歩道は人で埋め尽くされ、“すし詰め状態”になっていて、あまりの人の多さに、車道にはみ出して歩く危険な場面も見られた。
人気の撮影スポットである渡月橋では、美しい紅葉の嵐山をバックに写真を撮ろうと、観光客がずらりと並んでいる。
世界遺産の清水寺周辺も人、人、人の大混雑となっていて、寺まで続く坂道は、歩くのがやっとのほどだ。
シンガポールから訪れた外国人観光客は「私の誕生日のお祝いで来たの!すごくきれいだった!」「紅葉がとてもきれいで、たくさん写真を撮ったよ」、ベトナムからの観光客は「色がきれいで紅葉が大好き!ハッピーな気持ちになったわ」と笑顔で答えた。
バスの車内がスーツケースで…
一方、京都では観光客が増え過ぎることで起こる、いわゆる“オーバーツーリズム”が大きな問題となっている。
バスの車内で撮影された写真を見ると、外国人観光客が持ち込んだとみられるスーツケースが完全に通路をふさいでいる。
京都市は市営バスにスーツケースなどの大きな荷物を持ち込まないよう呼びかけているが、後を絶たない。
3日午前、京都駅前にあるバス停でウォッチングしてみると、多くの人がスーツケースを持ってバスに乗る姿が見られた。
インドからの観光客に話を聞くと、「公共機関を使うのが好きだから。バスを使えば文化的な体験もできるしね!」と話す。
こうした問題を解消しようと、2024年10月に京都市と観光協会が導入したのが、その名も「HANDS FREE BUS(ハンズフリーバス)」。
これは、大きな荷物を持ちながら観光するのではなく、手ぶらで観光してもらおうという試みで、荷物をバスのトランクに預け、駅と市内のホテルなどを500円で巡回する。
しかし、3日に「イット!」が乗り場に向かうと、ほとんど人の姿がない。
京都市によると、バスの利用者は1日平均10人ほどしかおらず、1人もいなかった日もあったという。
広報活動に力を入れているが、外国人観光客に情報が行き届いていないのが現状だ。
京都市は「イット!」の取材に対し、「観光課題の対策に特効薬があるわけではないので、粘り強く色んなことをやりながら、効果があったものを続けてやっていきたい」とコメントした。
(「イット!」 12月3日放送)