坂井市丸岡町の竹田地区の山あいに、茅葺屋根の民家がある。県内最古の民家で、国の重要文化財にも指定されている「千古の家(坪川家住宅)」だ。

格式高い生活をうかがわせる住居
江戸時代初期に建てられたとされるこの家には、平安末期の武士・源頼政の子孫と伝わる坪川家が暮らしていた。

3つの部屋に畳が敷かれ、栗の木の柱には先端が二つに分かれた「股柱」が使われている特徴的な造りは、当時の格式高い生活様式を知ることができる貴重な建造物となっている。

囲炉裏の煤でいぶされた木の肌が、歴史の重みを感じさせる。
板の間からは国の登録記念物にも指定されている庭園を望むことができる。赤や黄色に色づいた葉が、秋の深まりを感じさせる。仏に見立てた三尊石には子孫の存続を願う祈りが込められている。

この家を管理する坪川家の子孫・ますみさんは、この家を守るために地元に戻って来た。「四季折々の良さとこの佇まいは、どこにもない日本で一つしかない家屋らしいので、よくここまで残せたなという思い。これから先も守っていきたい」と話す。
納屋を改装した完全予約制カフェ

ますみさんは、隣りの納屋を改装してカフェを営んでいる。自家製のおろしそばや温かいお茶で、訪れた人をもてなしている。

おろしそばは、地元でとれたそば粉を使った十割そばで、太く切った麺にはしっかりとしたコシがあり、噛み応えがあるのが特徴だ。

「母の代からしていたのでそれを継承している。ここに来ると癒やされるという人もいて、ここの空気の良さも一緒に感じてもらえているのかな」(坪川ますみさん)歴史がつまった家とゆっくりと流れる時間に、心癒やされる空間だ。
<千古の家(坪川家住宅)>
アクセス:北陸自動車道丸岡ICから車で25分
入館料:大人500円 小中学生300円
開館日:土日祝の午前10時から午後4時
※1月~3月は予約制
※カフェは通年予約制