糖尿病は自覚症状がないまま合併症を引き起こす危険がある病気だ。日本では特に20歳以上の4人に1人が糖尿病またはその予備軍であり、適度な運動とバランスの取れた食事が予防に重要である。また、糖尿病が歯周病リスクを高める悪循環もあるため、生活習慣の見直しが求められる。肥満傾向の人に多く、生活習慣病ともいわれる糖尿病。その危険性と予防法を専門家に聞いた。
11月14日は世界糖尿病デー。糖尿病は、血糖値がうまくコントロールできなくなる病気で、様々な合併症を引き起こす。県内で糖尿病またはその予備軍が約20万人と推定されており、その数は20歳以上の4人に1人の割合だ。宮崎大学医学部附属病院の上野浩晶医師に糖尿病の怖さについて聞いた。
糖尿病には様々な合併症が…

宮崎大学医学部付属病院 上野浩晶医師:
糖尿病は血液検査をしないと分からない。多くの糖尿病の方は自覚書状がない。体中の細い血管から大きな血管までいろいろな血管がボロボロになっていって、様々な合併症が出てくるのが糖尿病の怖いところ。

放置しておくと、細い血管が集まっている手足の神経や目、腎臓に悪影響を及ぼすことがあり、三大合併症と言われている。
宮崎大学医学部付属病院 上野浩晶医師:
神経障害がひどくなると、痛みや感覚を感じる力が鈍くなり、最終的には全くなくなる。
けがをしても気づきにくいため、傷口から細菌が入って壊死することもあり、目の病気である網膜症を発症すると失明の危険性、腎症になると人工透析が必要になる。このほか、脳卒中や心筋梗塞を起こすリスクも高くなる。
糖尿病が引き起こす、歯周病のリスク
さらに、糖尿病は意外な病気を引き起こす場合もある。それが、歯周病。

県歯科医師会 佐野裕一副会長:
糖尿病になると歯周病の発症リスクが約2倍になり、血糖のコントロールが悪いと歯周病が重症化するというデータがある。
歯周病は、歯を支える歯茎などの歯周組織が炎症によって破壊される病気で、歯がぐらついたり抜け落ちたりする病気だ。
県歯科医師会 佐野裕一副会長:
早い方は20代から歯周病が始まっている。

糖尿病になると、高血糖による脱水のため口の中が乾燥し、歯周病菌が繁殖しやすい状態に。歯周病になると内毒素が体内に運ばれて炎症性の物資が作られ、その物質が血糖値を下げるインスリンの働きを邪魔してしまう。
県歯科医師会 佐野裕一副会長:
負の連鎖を防ぐことが大切。糖尿病が始まると歯周病のリスクがある。歯周病が重篤化するとさらに血糖値が上がるという悪循環になるので、これをなんとか断ち切らないといけない。
糖尿病を予防するには
糖尿病の予防、進行を抑えるためにはどうすればよいのだろうか。
上野医師は適度な運動とバランスのとれた食事が重要だと話す。

宮崎大学医学部付属病院 上野浩晶医師:
食べ方が大事。おかずの作り方、油を減らすこと。ナス1本を焼きナスで食べると20キロカロリー、天ぷらにして食べると200キロカロリーです。理想は昔ながらの和食。ご飯、汁物、小鉢が2つくらい、メインの魚。
上野医師は、「3食しっかり食べる」「ゆっくり食べる」事で、血糖値の上がり方は緩やかになるという。
また運動は「毎日の少しの工夫」が大切で、無理なく続けられる範囲から始めると良い。1日8000歩~1万歩を目標に、駐車場で遠いところに停めて歩くなど、日常で気付いたところからやっていくと良いとの事だ。
日本人は糖尿病になりやすい体質だといわれており、太っていなくてもそのリスクを抱えている。糖尿病にならないためにも、生活習慣を見直し、定期的に検診を受けることが大切だ。
(テレビ宮崎)