飯山駅前(長野県飯山市)のホテル計画が再び暗礁に乗り上げた。市議会は9月19日、ホテル建設に市が最大3億6000万円の補助金を支出することなどを盛り込んだ民事調停の条項案を反対多数で否決した。駅前にホテルは必要という方向性は一致しているものの、「経過の説明」を巡り、市長と議会の対立が鮮明となっている。
駅前のホテル建設 経過は
飯山市議会の本会議。9月19日、注目の採決が行われた。市が誘致を進めてきたJR飯山駅前のホテル建設。
公募に応じた地元経営者らでつくる「飯山ホテル」に対し、市は当初、ホテル部分に最大3億円、同じ建物に造る健康増進施設に2億円を補助する方針を示し議会も承認していた。

しかし、2年前の選挙で事業の検証を掲げて当選した江沢市長が、「補助金の支出はしかねる」と表明。事業者側は2023年7月に民事調停を申し立て、市側と解決策を探ってきた。
そして、2024年6月、「8階建ての建物を4階に縮小する」「健康増進施設は整備しない」「ホテル部分への補助金を6000万円引き上げて最大3億6000万円とする」ことなどで合意した。

事業を進めるには議会の承認が必要だったが、反対多数で否決。
なぜ否決「市長の説明が不十分」
市と業者の間で合意したのに、なぜ否決したのか。
飯山駅前ホテル調停条項案審査特別委の吉越利明委員長は「調停の中で、補助金を出さないというのが一変してプラス増額になった部分は、議会は市民に説明しなければいけない部分もあるので、そういった部分が明確になっていないことが大きかった」と話す。

これまで議会では複数の議員が調停での交渉について説明を求めてきたが、江沢岸生市長は「守秘義務がある」として、具体的な内容を明かそうとしなかった。
市長「ルールの範囲で説明」
否決を受け、江沢市長は「極めて残念であります。『議会に何も言わないでけしからん』とか意見もたくさんもらったが、私としてはルールの範囲で申し上げているつもり」と述べた。

説明を求める議会と、可能な範囲でしてきたという市長の間で対立が鮮明になっている。
市民はあきれる「みっともない」
市民は「やっぱりムダです。いつまでもこういう状態であると本当にみっともない。いい方向を早く決めてもらって進めてもらいたいとみんなそう思っている」、「両者、仲たがいするのではなく、良い議論を重ねてもらって、いつまでもあの状態ではいけない」などと話し、あきれた様子だ。

補助金なしでの着工は現実的でなく、飯山ホテルの担当者は、「市と議会側で何があったかはわからないが、今回の決定は残念。今後は株主含めて関係者と協議して対応を決めたい」としている。
市は、10月の調停の場で事業者の意見を聞いて今後の対応を考えたいとしている。
(長野放送)