土地取引の目安となる基準地価が9月17日に公表された。次世代半導体の量産を目指す「ラピダス」進出の効果が続く北海道千歳市が上位を占めた。
上昇率が1位となった場所の近くでは、ホテルが建設されマンションも立っている。千歳市内はまさに建設ラッシュだ。
住宅地・商業地で北海道1位の上昇率

JR千歳駅に近い千歳市幸町。ビジネスホテルを建設するための解体工事が進んでいるほか、10階建てのマンションも建設中で、市内は活気づいている。

9月17日に公表された土地取引の目安となる基準地価。住宅地の上昇率が北海道1位となったのは、千歳市栄町5丁目の住宅地だ。2023年に比べて23.5%上昇し、1平方メートル当たり12万1000円となった。

一方、商業地でも上昇率の北海道1位は千歳市北栄2丁目だった。2023年より24.5%も上昇し、1平方メートルあたり12万7000円となった。どちらも2年連続の1位だ。
「あちこち建っているね。直したり増築したり。車の量が増えて、交通渋滞も多くなったと思う」
「最近引っ越してきて中古マンションを買ったんだけど、やっぱり2、3割上がった感じ。もともと土地を持っている人は地価が上がればチャンスだったかもしれないけど、これから住もうという人はちょっと…」(いずれも千歳市民)
背景に「ラピダス」進出 今後の人口増加も見込む

高い上昇率の背景にあるのが、次世代半導体の量産を目指すラピダスの工場建設だ。着工から1年がたち、工場の外観ができ上がってきた。2025年春に試作ライン、2027年に量産スタートを目指し急ピッチで工事が進んでいる。
千歳市は9月、2028年までに人口が10万人を超え、2040年にはラピダスの関係者の人口が7900人に達するとの試算を公表した。人口増加を期待し町もどんどん変わっている。
「『ランドブレイン千歳モール』といって13テナントが入る商業施設」(ランドブレイン 斉藤茉佑さん)

JR千歳駅から車で7分ほどの国道沿いでは、ショッピングモールが建設中だ。スーパーやホームセンター、家電量販店に飲食店、千歳初進出の店も多く、駐車場は1100台分ある。約45億円かけた市内最大級の複合商業施設で、11月までに開業する。企画した会社は開発ビジネスも過熱していると話す。
「ラピダスが来てから土地の奪い合いじゃないが、みなさん狙っていると思う。1人勝ちしたいと社員一同思っている」(ランドブレイン 斉藤茉佑さん)
期待感は周辺の町にも波及

期待感は周辺の町にも及んでいる。隣の恵庭市も住宅地で地価上昇率10位にランクイン。JR恵み野駅近くでは、ホームセンターと家電量販店の建設が進んでいた。
ラピダスに端を発した人口増加や町の活性化による地価の上昇。専門家は今後も、周辺に影響が広がっていくとみている。
「人口が10万人を超えると、当然住む場所が必要になってくるので、じわじわと戸建住宅にも波及していく。周辺の市町村も含めて」(北海道不動産鑑定士協会 横山幹人理事)

一方、札幌市は商業地の上昇率トップテンに半数の5か所がランクインした。観光需要の回復や再開発を背景にしたホテルやマンション需要の高まりが理由とみられ、最上位の5位にはホテルや商業施設の建設が進む中島公園近くの土地が入った。