2001年9月11日。アメリカ上空でハイジャックされた4機の旅客機がニューヨークやワシントンの中枢部の建物に次々と突っ込んだ。
真珠湾攻撃以来のアメリカ本土に対する最悪の攻撃となった同時多発テロ事件だ。
この記事の画像(5枚)2977人が犠牲になったこの事件からまもなく23年。ニューヨーク在住の日本人男性がテロ現場の一つ、世界貿易センタービルに旅客機が突入してから崩落するまでの一部始終を撮影していたことが明らかになった。なぜ今、公開に踏み切ったのか。
「記録として残すべき」テープ劣化する前に保存、公開
撮影したのは、ニューヨーク在住の映像プロデューサーの杉本慧さんだ。杉本さんは、公開に踏み切った理由について次のように話す。
「押し入れを掃除していたら、箱いっぱいのDVテープが出てきました。テープが劣化する前に映像を保存し、YouTubeにあげてみたところ、映像についてたくさんのコメントが来ました。
このアングルでこのクオリティーで見たことがないというコメントが多かったので、ならばこの記録をちゃんと公開しなければいけないと思いました。歴史的な大事件なので記録として残しておくべきだと思いました」
杉本さんが公開したYouTube動画のコメント欄には、「動画をアップしてくれてありがとう。この事件は決して忘れることはできない」「歴史的瞬間と真実を保存してくださり感謝します」といった言葉が並ぶ。
「ただごとではない」カメラを持ち屋上へ…
2001年9月11日朝、旅客機2機がニューヨークの象徴ともいえる世界貿易センタービルに相次いで突っ込み、高さ410mの2つのタワーは炎上。約2時間後に崩落した。
当時、学生だった杉本さんは3kmほど離れた自宅の屋上で撮影を開始した。
「鮮明に覚えています。ただ事ではないと思ってビデオカメラと三脚と望遠レンズを持って屋上に出てみました」
映像には世界貿易センター2棟に旅客機が突入した直後から、相次いで崩壊するまでの様子が映し出されている。
「当時は携帯電話もつながったり、つながらなかったりという状況だった。情報が少ない時代で、何が起きているかわかりませんでした。『次はエンパイアステートビルやクライスラービルがやられるらしい』と言っている人もいました」
110階建ての世界貿易センターでは当時1万人以上が働いていたとされている。2棟のビルでの犠牲者は旅客機の乗客乗員、消防士や警察官、合わせて2753人にのぼる。そのうち日本人24人も含まれている。
経済大国アメリカの象徴でもある摩天楼の一角が崩れ落ちる光景は、世界に計り知れない衝撃を与えた。以来、アメリカは「テロとの戦い」を続けている。
(FNNニューヨーク支局 村上真理子)