自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。

「笑った!困った!」…。でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家に聞こえてきたのは、小さな娘さんを持つパパのこんなお話。

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子どもたちに大人気?困ってしまう前に…記事の続きをチェック!
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「小学校の娘の友達と楽しくお話をしていたら、突然別の友達が『ねーねー!』と割り込み。同時にたくさんの子どもたちと話すのは大変…。思わず『聖徳太子じゃないよ~!』と悲鳴が…」


お友達のパパママが誰かと話しているところに、“カットイン”しちゃう子ども。
楽しいお話をたくさん抱えていたら「聞いて聞いて!」と気持ちがあせってしまうのはわかるけれど、パパママからしたら複数の子どもの相手をするのは骨が折れる!そして我が子がそんな行動をしていたら「わざと困らせている?」とハラハラしてしまうかも。

そして意外と多いのが「うちの子、お友達のパパママになつきすぎかも?」という声。我が子がお友達の他のパパママにべったりだと、ちょっと複雑な気持ちになったり、「もしかして愛情不足?」と悩んでしまうこともあるはず。

子どもがお友達のパパママの会話に割り込んじゃったり、なついちゃうのはなぜ?育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。

カットインは「悪気なく…」

――「お友達のパパママが話しているところにカットイン」、これってどうして起きちゃうの?

小さいうちは、その場の雰囲気を感じ取ったり、タイミングを見計らって動いたりというような「全体を俯瞰しての行動」はまだ難しいものです。「他者から見た自分」という視点が成長過程にあるので、自分がはたから見てどう映っているかという点を気にするよりも、自分の気持ちを優先する傾向があります。もちろん「悪気なく」です。

ですから、その子自身は自分が話に“割り込んでいる”だなんてまったく思っていないでしょう。「聞いて聞いて!」「見て見て!」と自分に注目してほしい気持ちで、迷わずそこに飛び込んでいくというパターンが一番多いと思います。


――カットインは「悪気なし」。ではそうなったときパパママはどうしたらいい?

やはり「順番にお話しよう」と持ちかけるのがいいのではと思います。「ごめんね~、みんな一緒にしゃべっちゃうと、おじちゃん(おばちゃん)うまくお話聞けなくなっちゃうから、一人ずつ話そうね。順番はどう決める?」のような感じでしょうか。もちろん、みんな話したくてたまらないので、そのお願いが届くかどうかは微妙ではありますが……。

「愛情不足?」の悩みは「心配なし」

――「お友達のパパママに特別なつく」というのは、子どもあるある?

頻度としては「たまにある」くらいではないでしょうか。子ども全員がそうなるわけではなく、その子の性格が大きい要素だと思います。人懐っこくて物怖じしないタイプの子は、レジの人や公園にたまたま居合わせた人にも話しかけることができますので、すでに既知のお友だちのパパママとなればなおさらでしょう。


――お友達のパパママになつくのは「愛情不足?」「自分の家に不満がある?」と悩んでしまうこともあるけれど…。

私の相談室でも、同様の場面に遭遇して「愛情不足なのか」と悩む声を聞くことがありますが、上で触れたように、主な理由はその子の性格が大きいので、よほど家庭の中の空気が悪くない限りは心配には及びません。

基本的に大人は、子どもにグイグイと話しかけられてもイヤな顔をしたり愛想悪く対応したりせず「そうなの~!」「すご~い!」とノリノリで返してあげることの方が多いはずです。そういう経験を通して「大人は自分をいつも受け入れてくれるものだ」という認識も得ていると思うので、お友だちのパパやママを見つけると話しかけたくなってしまうのでしょう。
もしその子が、子ども同士よりも大人の方が自分の話を聞いてくれるし、自分が中心になれると感じていたら、遊びを途中で切り上げて、話に割り込んでくることもあると思います。

小学生半ばあたりから段々と落ち着いてくるものなので、自分の子どもがお友達のパパママにしつこくなり過ぎないよう気にしつつも、見守ってあげてほしいと思います。

子どもたちが会話に“カットイン”してきちゃうのは、「大人はいつも自分を受け入れてくれる!」という信頼もひとつの理由。「今、別の人と話しているから後にしよう」「今、どんな話をしているのかまずは聞いてみよう」といった“客観的”な意識よりも「自分を見てほしい!」という意識の強さが「会話に割り込んじゃう」という結果に繋がっているので、「わざといじわるをしている」「わざと困らせようとしている」というわけではないようだ。

そして「お友達のパパママにぱっかりなついているような…」というお悩みも、特別「家では全然話してくれないのに、お友達のパパとだけ話しちゃう」といった状態でない限り、特別な心配はしなくて大丈夫。“しつこすぎない距離感”にだけ気を付けつつ、子どもが小さい時ならではのコミュニケーション方法のひとつとして、見守ってあげたい。


(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。