一年間だけ漁師になる「一年漁師」。長崎県雲仙市の漁業会社がコロナ禍で始めた企画に参加し、「漁師」となった女性がいる。国際系の大学で学んでいた「大卒」の漁師の1年間には、これから進む道を照らす出会いが待っていた。

「一年漁師」との出会い

檜森友香子さんと一年漁師との出会いは大学4年生の秋だった。檜森さんは大学3年生の時、コロナ禍で大学が休学となり、地元・佐賀のノリ養殖のアルバイトをしたことをきっかけに漁業に興味を持ち始めた。その後SNSなどで検索して出てきたのが、漁業会社「天洋丸」が募集していた「一年漁師」だった。

天洋丸の中型まき網漁船
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「天洋丸」は長崎県雲仙市南串山町にある漁業会社で、主に橘湾を漁場に煮干しの原料となるカタクチイワシの漁獲を行っている。

煮干しの原料となるカタクチイワシ

檜森さんは天洋丸で短期の漁師体験を経て、大学卒業後、天洋丸に漁師として“就職”。地元佐賀には戻らず、雲仙市南串山町に引っ越し、2023年3月から「一年漁師」となった。

必要なのは運転免許だけ

天洋丸が操業を行う中型まき網漁業は数多くの乗組員が必要だが、近年は高齢化が進み、担い手不足が課題だった。そこで、従業員寮を建設するなどして、居住環境や労働時間を見直すなど雇用環境も整えた。さらに、漁業や水産に興味を持ってもらえるように、観光客向けに漁師体験の受け入れも行い、タコつぼ漁や養殖魚へのえさやり体験、操船体験なども始めた。その後コロナ禍となり、仕事を失ったり将来に不安を感じる人が多く、会社として何かできないかと2021年2月に企画したのが「一年漁師」だった。

天洋丸 竹下千代太社長

天洋丸 竹下千代太社長:
自分の将来を決める、働き方はこうあるべきと思う必要はない、色々な生き方を漁師として働く中で見つけてほしいと考えた

一年漁師の仕事は、新卒正社員と同様に、まき網漁船での作業や鮮魚処理、網修理、簡単な水産加工業などだ。

年間約100日の休みや就業開始すぐに10日の有給を付与。給与は新卒正社員と同額を支給。さらに年2回の賞与、社会保険、家具家電付きの社員寮など、福利厚生も充実させた。必要な資格は運転免許だけ。車は一年間、社用車を貸し出すなど手厚い待遇だ。

檜森友香子さん:
近くにスーパーマーケットがなく生活に慣れるまでは大変だったが、海に近い南串山町では、橘湾に沈む夕日を間近に見ることができて、見るたびに心が浄化された。自然がすぐそばにあることや近所の人があいさつしてくれること、地域の人との交流が心に残っている

天洋丸では、主に中型まき網漁船でのカタクチイワシの漁での操業で、夜に出航して朝港に戻ってくる。

漁をする檜森友香子さん

これまでは男性が多い漁業の世界で、漁師として海に出ることになった檜森さん。漁業という「未知の世界」で彼女が出会ったものは、彼女の将来を左右する経験だった。(つづく)

(テレビ長崎)

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