クマの出没が相次ぐ中、北海道空知地方の奈井江町では、猟友会がクマの駆除への参加を辞退する方針を明らかにした。
背景にはハンターへの報酬額などがあり、波紋を呼んでいる。
「怒りじゃない。あきれてものが言えない」（北海道猟友会 砂川支部奈井江部会 山岸 辰人 部会長）
猟友会奈井江部会はクマが出没した際、ハンターの出動を辞退する方針を決めた。
猟友会は参加を辞退する方針を示している。
報酬額の問題
理由のひとつになっているのが、出動した際に町から支払われる報酬額だ。
町の提示額は日当が8500円、発砲した場合は1万300円。
札幌市の場合は出動1回2万5300円、捕獲・運搬した場合は3万6300円で、それに比べると低い金額になっている。
「確かにリスクの割には報酬が安い。いろいろなことを言われるだろうと思うけれど、ハンターとして全国のハンターの代弁として言っている」（山岸 部会長）
2023年の奈井江町でのクマの目撃は20件にのぼる。
住民の反応
この事態に住民は。
「ハンターは頼りになる。助けてくれる気がする」（地元住民）
「ハンターがいた方が、地域を守るためにはありがたい。もう少し報酬が高い方が、ハンターも頑張れると思う」（地元住民）
町は「猟友会と今後、話し合いを進めていきたい」とコメントしている。
過去の事例では
北海道では過去にもハンターの報酬をめぐり問題となったケースがある。
2018年、後志地方の島牧村で連日クマが出没。
地元の猟友会のハンターが村の要請を受けて出動し、クマは駆除された。
出動は3か月間連日深夜に及び、住宅地で発砲許可が下りずに長引いたため、その報酬は総額1000万円を超えた。
村議会はこれを高額すぎるとして、上限を240万円とする条例を可決した。
「クマが出てもハンターが出てくれないから、みんな不安でいる。われわれ村民からしたら困ったもの」（地元住民）
条例に猟友会は反発し、村への協力を見合わせるようになった。
再開したのは2年後、上限額が撤廃されてからだった。
現在の対策と支援
現在、村ではクマなどの対策費に年間1500万円以上を計上。
猟銃の購入や免許取得などにも補助を行っている。
住民の命を守るため、最前線でクマと対峙するハンターへの報酬や補助のあり方が問われている。
