ゴミ収集車による子どもの事故が相次いでいる。運転席からはどのように見えているのか、収集車に同乗し業者を取材すると、“運転者の死角”が浮かび上がってきた。その原因を検証した。
相次ぐゴミ収集車による子どもの事故
この記事の画像(32枚)岐阜・各務原(かかみがはら)市で21日夕方、小学3年生の8歳男児がゴミ収集車にはねられる事故が起きた。現場は、交通量の多い、信号も横断歩道もない交差点だった。
事故を目撃した近所の人は「ものすごい音。ドンという音がして、何だろうと思って見たら、子どもが飛ばされていた。駆け寄ると、もうだいぶグッタリしていた」と当時の状況を振り返った。
小3男児は頭にケガをして、一時意識不明の重体となり救急搬送されたが、その後、意識が回復し、命に別条ないという。
ゴミ収集車による事故は、前週の5月13日に静岡・浜松市で起きたばかり。現場には事故を起こしたゴミ収集車と女児のものとみられる自転車が確認できた。
この事故では、小学4年生の女児がひかれ、その場で死亡が確認された。
相次ぐゴミ収集車による子どもの事故。
運転席からはどのように見えているのか、事故を起こした会社とは別の東京都内の業者を取材すると、“運転者の死角”が浮かび上がった。
ゴミ収集車に同乗し検証取材
一般的な収集車の運転席に座り、車の左前方に置いたコーンがどのように見えるか検証してみた。
東中キャスター:
(運転席に座った状態)ここからだと、コーンが置いてあるのか(死角になり)見えません。ミラーなどでもこの角度だと確認できません。
東中キャスター:
やはりちょっとのぞき込まないと真下は見えないような感覚です。
どうしても車の前が死角となってしまうのだ。
車の前方1メートル以内が死角に…
ではどこから見えなくなるのか、プロのドライバーに協力してもらい検証した。
東中キャスター:
(コーンまで)だいたい残り1メートルくらいでしょうか。トラックが止まりました。運転席からだと見えないですか?
ゴミ収集車の運転手:
もう見えないですね。
車の前方1メートル以内が死角になっていることが分かる。業者側は、ゴミ収集車ならではのドライバーの視線が、事故の要因ではないかという。
日本サニテイション 植田健代表:
ゴミ収集車の場合、1日50件から100件(ゴミ置き場を)回りますので、そこにゴミがあるのか、目が遠くを見るという習性になっている可能性はありまして、手前をちょっと見落とすという危険はあるかもしれないです。
今回取材した会社では、目視だけに頼らない安全確認をしているという。
ゴミ収集車の運転手:
窓を開けるというのも大切。窓を閉めていると音が聞こえない。
窓を開け、自転車が近づく音など、耳でも確認を怠らないという。
徹底した安全管理のもとで、日々行っているというゴミの収集。
ドライバー:
この業界がかなり高いスキルと専門的な知識を持たないとできないですし、経営者・役員は事故違反やっただけで免許取り消しになるくらい厳しい世界ではあるので、その現実は知っていただきたい。
(「イット!」 5月22日放送より)