静岡県富士宮市にあるミツバツツジは春の訪れのシンボルとして親しまれてきたが、5年程前から衰え始めている。今までのようにいっぱいの花をつけてもらおうと、地元の人たちが立ち上がった。

4m超の高さは国内最大級

富士宮市北部の猪之頭にあるミツバツツジは樹齢600年を超える。4mを超える高さは国内最大級で、県の天然記念物に指定されている。

ミツバツツジ(2016年)
ミツバツツジ(2016年)
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春にはピンクの花をいっぱいに咲かせ、地元では春の訪れを告げるシンボルとして親しまれてきた。

5年前から衰え始める

しかし、5年くらい前から木が衰え始めた。

ミツバツツジ(2024年)
ミツバツツジ(2024年)

ミツバツツジは佐野三代子さんの実家の敷地にあり、一般開放している。県の天然記念物に指定されているため、佐野さんは県や市と相談しながら家族で管理をしている。

しかし、年々衰えていく姿に驚きを隠せない。

佐野三代子さん
佐野三代子さん

佐野三代子さん:
本当に見事に咲いたイメージがあるので、ここ数年でどうしてこんなに衰えたのか。市の方が(枝を)切る時に触ったら枝が折れた。それを見た時は本当にショックだった

子供の頃から一緒に

姉のきぬえさん(左)と三代子さん(右)
姉のきぬえさん(左)と三代子さん(右)

子供の頃からミツバツツジと一緒に過ごしてきた佐野三代子さんと姉の望月きぬえさんは今も木の周りで遊んだ楽しい記憶を思い出す。

佐野さんは「(子供の頃は)年間通じて木登りできるような感じ」と話す。

望月きぬえさん
望月きぬえさん

望月きぬえさん:
子供が登るには最適な木で、1人ずつ座ってぐるりと輪になり遊ぶのは楽しかった

三代子さんの子供時代(提供:佐野三代子さん)
三代子さんの子供時代(提供:佐野三代子さん)

2人には楽しい思い出が多いだけに、今の姿に寂しさを感じる。

佐野三代子さん
佐野三代子さん

佐野三代子さん:
1本なくなり、もう1本なくなり…。もう少し前に気づいて何かやれなかったかと残念です

何とか元気になって、これまでのようにいっぱいの花を咲かせることができないか。

叔父・髙野多作さん(提供:佐野三代子さん)
叔父・髙野多作さん(提供:佐野三代子さん)

植木職人でもある佐野さんの叔父・髙野多作さんと家族で土の入れ替えや害虫駆除などを行ってきた。訪れる人たちががっかりしないよう新しいミツバツツジを植えブランコを設置。庭を整備してきた。

佐野さんは「花芽がついているから、まるっきり咲かないことはないと思う。少しでも咲いてもらえれば」と話す。

思いが通じた?

そして、2024年も花を咲かせる時期を迎えた。

きれいな花を咲かせる(2024年)
きれいな花を咲かせる(2024年)

佐野さんたちの思いが通じたのか、ミツバツツジが2024年もきれいな花を咲かせた。元気だった頃にはほど遠いものの、木々にはピンクのきれいな花が咲いた。

三代子さんときぬえさんは「花が咲いてくれて本当にうれしい。ほっとした」と話す。

新しいミツバツツジ
新しいミツバツツジ

整備された庭には新しいミツバツツジも花を咲かせ、訪れた人たちを楽しませていた。

ミツバツツジを見に来た人たち
ミツバツツジを見に来た人たち

来場者は「こんなにきれいにして…立派です。家ではできない」「絶えてしまうといけないので、守っていくことがすごく大切」と話していた。

きぬえさん(左)と三代子さん(右)
きぬえさん(左)と三代子さん(右)

佐野三代子さん:
ウキウキします。大勢の人に見に来てもらえるとうれしいです。これを維持して、みんなで守っていきたい

花を咲かせたミツバツツジ(2024年)
花を咲かせたミツバツツジ(2024年)

猪之頭のシンボルでもある樹齢600年を超えるミツバツツジ。これからも佐野さんたちはミツバツツジを守り続けていく。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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