自民党の派閥の政治資金規正法違反事件で前職が辞職したことに伴う衆議院長崎3区の補欠選挙が4月16日告示され、これまでに2人が立候補した。それぞれの候補者の第一声を届け出順に伝える。

立憲民主党 前職 山田勝彦候補

補欠選挙に立候補したのは立憲民主党の前職 山田勝彦さん(44)と日本維新の会の新人 井上翔一朗さん(40)の2人だ。(届け出順)

立憲民主党の前職 山田勝彦さんは4月16日朝、長崎県大村市の県営バス大村ターミナル前で街頭演説を行った。

立憲民主党の前職 山田勝彦 候補
立憲民主党の前職 山田勝彦 候補
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山田さんは政治とカネをめぐる問題での自民党の対応を批判したうえで、増税に頼らない子育て支援策の充実などをアピールして長崎から政治を変えようと訴える。 (以下、街頭演説より)

立憲民主党 前職 山田勝彦 候補(44):(2024年)1月にこの戦いを挑戦することを決し、3カ月間長崎県内各地、毎日が出陣式との決意で駆け回った。きょう本当の山田勝彦の出陣式を迎えるにあたり、多くの後援会の皆様、連合長崎をはじめとした支援団体の皆様、保守王国長崎で自民党とともに戦い続けてきた国民民主党、社民党の仲間の皆様、お集まりいただき山田勝彦に激励をいただきますことを心より感謝申し上げる。

もう2度と裏金・脱税・金権政治は許さない

立憲民主党 前職 山田勝彦 候補(44):全国が注目をしている長崎3区の戦いが始まった。なぜ注目を集めるのか、80名を超える自民党の裏金議員の中で唯一議員辞職によって行われる戦いがこの長崎3区の戦い。物価高で生活が苦しい中、中小企業の経営が厳しい中、私たちは納税をしないといけない、インボイス増税、防衛増税が待ち構えている、そんな中、自民党の裏金議員は脱税、こういう政治を私たちは許していいのか、長崎県民はもう二度と裏金・脱税・金権政治を許さない、その民意を長崎県民と一緒に全国に届ける、この戦いが始まった。

もう二度と裏金・脱税を国会議員にさせてはいけない、そのために新しいルール、新しい法律が必要。立憲民主党はすでに企業、団体からの献金を禁止する、政治資金パーティーを禁止する、法案を国会に提出している。

政策活動費という名の、二階元幹事長で言えば、5年で50億円もの使途不明な税金が使われていることも廃止すべき。政治資金規正法違反に問われながら政治家自らは知らなかった、秘書の責任だ、と。これで済まされていいのか。連座制も導入すべき。

私たちが国会で提案し続けている政治改革に対し、すでに3カ月が経つが自民党は全くやる気がない、真の政治改革を進めるには政権交代が必要ではないか。この選挙で立憲民主党が大勝すれば議席を大きく伸ばす。自民党の議席を大きく減らす政権交代に向けた大きなうねりをこの長崎から、大村から一緒につくっていこうではないか。裏金政治、本質的な問題は自民党に献金する力のある企業、業界団体ばかりが優遇され補助金、減税政策が行われている。政治は本来、社会的、経済的立場の弱い人や生活に困っている人たちの力になるためにあるのではないか、こういう政治をただす大きなチャンスだと思っている。

高齢者の実情を訴える声を聞いて

県営バス大村ターミナル前(長崎県大村市)
県営バス大村ターミナル前(長崎県大村市)

立憲民主党 前職 山田勝彦 候補(44):県内各地を回ると「年金じゃ暮らしていけない」「引かれるものが多くなった」「物価は上がるが年金は上がらない」こういう状況の中で多くの高齢者から生活が苦しいという声をもらっている。こんな中でインボイス増税・防衛増税を始める、国民に負担をかける政治はおかしいのではないか。政治とは生活そのものであり、物価高から国民・県民の暮らしを守る政策を進めていかなければならないのではないか。

私たち立憲民主党は低年金の高齢者の方々に対する年金の上乗せ給付を行い、老後の安心を高める。長崎県は全国トップレベルのガソリンの高さ、東京や関東圏は1リットル150円台のところもある、大村では180円を超えている、上五島では200円を超えていた。生活必需品である車のガソリン代は家計に直結する大きな影響を与える。だからこそ、立憲民主党はトリガー条項を発動し、全国一斉にガソリン代を25円値下げする政策を訴え続けた。しかし、自民党・岸田総理はそれに反対し、業界団体に6兆円を超える補助金をつけ、石油政治連盟からは自民党に5000万円もの献金が毎年なされている。時代劇の越後屋と悪代官の政治を令和の時代に、いつまでも続けさせるわけにはいかない。みなさん、一緒に変えていこうではないか。この国の政治を、国民、大村市民の暮らしのもとに取り戻す戦い。

さらなる負担増、事実上の増税に「ノー」

立憲民主党 前職 山田勝彦 候補(44):私たちの国、長崎県の最大の課題は人口減少、少子化。若い人が経済的理由で子育てを諦めてしまっている。大学生に2人に1人は奨学金という名の生活ローンを借りなければならなくなった。その大学生は将来、一体どういう職業に就いて、どれだけの収入を得るのか。まだわからない状態で何百万も借金を背負って社会に出ている。貯金ができない20代が急増している。貯金だけではない、奨学金が返済できずに何千人もの若い人たちが自己破産をしている。こういう社会、日本に未来があるのか。

立憲民主党なら、奨学金の返済免除を、すでに国会に提出している。岸田総理が掲げている子育て支援金、こんな愚策はない。最初、月額500円弱と言っていた試算がいつの間にか一定収入を超えると月額1000円、さらに年金暮らしの高齢者にも負担を求める、若い人たちこそ収入があれば負担が大きくなるし、企業側にも負担がある。つまり月額1000円であれば、年間1万2000円を雇用している企業も同額負担する、本来1万2000円分の企業負担分は賃上げに回すべきではないか。物価高を上回る賃上げが必要と言いながら、全くチグハグな政策を進めようとしている。さらなる負担増、事実上の子育て増税を求める岸田政権にノーをつきつけようではないか。

全国の子供たちの給食を無償に

立憲民主党 前職 山田勝彦 候補(44):立憲民主党は対案を示している、株式市場に上場している日銀が保有している上場投資信託の財源を、分配金をあてていくということ、この国が最も必要な予算は防衛予算の倍増より子供予算の倍増ではないか。

立憲民主党は本気の少子化対策を行い、児童手当は第一子から増額していく。学校給食、大村の町で無償化でないが、諫早や佐世保では学校給食の無償化が始まるのはおかしい。私たちの国に生まれた子供たちがどの町で育とうとも、国の政策として全国の子供たちの給食が無償化であるべきではないか。

大学の授業料、第3子以降ではなく第1子から無償化する、若者や子供たちに本気で投資をする国づくりを一緒に長崎から進めていこうではありませんか。

最後に皆様のおかげで2年半国会で活動することができたが、きょうをもってこの議員バッジを外すことになった。年末から対話集会を重ね、多くの長崎3区の皆さんから「恥ずかしい」、県外からは「なぜ選んだのか」などの声を聞くたびに胸が苦しくなった。もう二度と大村の長崎3区の皆様が選び送り出した国会議員にそういう言葉を、そういう思いをはかせてはいけない。

立憲民主党 前職 山田勝彦 候補(44):今度こそ、大村から長崎3区から、山田勝彦を皆様の代表としてもう一度国会に送り出していただけないか、お金の力で動く金権政治ではなく国民の、大村の皆さんの声で動く真っ当な政治へ。もう変えんば!山田勝彦、毎日が最終日。全力で駆け回ってまいります。

日本維新の会 新人 井上翔一朗候補

一方、日本維新の会 新人の井上翔一朗さんは佐世保市のJR早岐駅前で街頭演説を行った。

日本維新の会 新人 井上翔一朗 候補
日本維新の会 新人 井上翔一朗 候補

井上さんは教育の無償化など「改革を実行する政党」と訴え、他の野党との差別化を図り、保守の地盤が強い地区で自民党支持層の取り込みも狙う。(以下、街頭演説より)

民主党議員の秘書を経て

日本維新の会 新人 井上翔一朗候補(40):私も2023年まで長崎県に住む一有権者だった。国政選挙も実施されたが、選択肢がない選挙で有権者として迷っていた、30年の日本の停滞を作った政権与党、今の与党に任せるわけにはいかない。今回の対立候補は立憲民主党だが、なかなか改革を進められない立憲民主党に自分の一票を入れていいか迷っていた。現在40歳だが20年前の大学生の時は「将来は国政にチャレンジしたい」という思いで当時民主党の国会議員の秘書をしていた。既得権を持つ政権与党。政治が国民のためになっていない。民主党を応援し政権交代を実現すれば日本はよくなる、市民のための政治の世界となると信じて青春時代の4年間を政治に注いだ。

大学卒業後、民主党は政権取ったが国民の皆さんの期待に応えることができたのか。民主党が政権を取れば政治の世界は変わると思っていた。マニフェストを見て、こういう社会になったらいいなという思いで選挙区を回りながら政治家の応援をしてきた。政権を取った後、民主党が政治改革を実現できなかったのが現実。逆に自民党の長期政権を作った原因が民主党政権ではないか。

立候補の原動力は2人の息子たち

JR早岐駅前(長崎県佐世保市)
JR早岐駅前(長崎県佐世保市)

日本維新の会 新人 井上翔一朗候補(40):就職・結婚し子育てし政治から距離を置く生活を過ごしてきたが、2023年40歳になり社会の責任世代として政治を無視するわけにはいかないと強く感じた。

今回のチャレンジにつながったのは息子たちがいるから。6歳と3歳の男の子の父親で子育て真っ最中。家庭でも忙しいが、彼らと過ごす中で彼らが社会人になった時にこのままの日本社会を引き継いでいいか、考えさせられた。彼らは日本に生まれて幸せか、日本に夢を抱いて生活できるか考えた。零細企業ではあるが、企業経営者として職員に給料を払う中、税金や社会保険料の負担、経営者はお金と接するので痛感している。

「また社会保険料が上がった、社員の手取りが減った」そんな実感を抱きながらこのまま20年30年継続して、息子の世代が社会人になった時に、働いても働いても手取りが増えない、社会保険料や税金で7割も8割ももっていかれる。そんな日本社会になろうとしている。

子供たちを日本に産んだ責任、なんで日本で産んだんだ、なんで日本で生活しなければいけないのか、そう文句を言われても仕方がない社会が近く訪れようとしている。その流れを変えるためには政治を変えなければならない。そういう思いで日本維新の会から立候補した。

「改革を実行する政党」へ

日本維新の会 新人 井上翔一朗候補(40):なぜ維新の会なのか、さきほど有権者としての迷いを話したが、この30年の日本の停滞をつくった政権与党ではない、きれいなことを言うが政権をとっても改革ができなかった民主党の流れをくむ立憲民主党でもない、改革を実行する日本維新の会という選択肢を長崎の皆様に示したいと強く思った。日本維新の会は改革を実行していく政党。国政では議席数が少ないので実行できている改革は少ないかもしれないが、日本維新の会が首長を取り過半数を占めるを取る大阪を見てください。企業や団体とのしがらみのない政治を実現できている。献金を受けていないので、企業や業界団体におもねる政治をしていない。だからこそ有権者や納税者が本当に望む政治ができている。

私も民間教育の経験がある。教育の重要性を痛感している。大阪では改革によって教育の無償化が実現できている。保育料の無償化、小中学校の給食費の無償化、塾代のクーポンの発行、私立高校の授業料の無償化、子供を抱え教育費のかからない社会がどれだけ豊かで経済的に助かるか。市民の一人として実感している。大阪では政治が変わるだけで実行できた。増税したわけではない、政治のお金の使い方を変えることで教育無償化を実現した。それを大阪にとどめるわけにはいかない、長崎でも政治が変われば実現できるはず。今の政治はどこを向いているのか、子育て世代、未来世代に投資をしていく政治でないと、これからの日本社会はもたない。

子供たちが日本に生まれてよかったと感じてもらうためには積極的に子供たちに投資をしていく、そういう政治に切り替えるチャンス。政治が変われば社会が変わる、日本維新の会が大阪で見せてくれている景色。これこそが改革の実行力ではないか。きれいなことをいくら並べても実現しなければ意味がない。どの政党が改革を実行できるのか、長崎の皆様に見てほしい。井上翔一朗が先頭にたってやり切る。

日本維新の会 新人 井上翔一朗候補(40):今回の補欠選挙の原因となった政治とカネの問題。自民党の衆議院議員が裏金問題で起訴され、議員辞職して補欠選挙は行われる。政権与党の自民党は党内のしがらみで候補者を立てないという、とんでもない体たらく。自民党は長崎の政治を放り投げたといっていい。そんな政党に政治を任せることはできない。この補欠選挙では、立憲民主党と井上との一騎打ち、政治改革も実行力で見極めていただきたい。政治とカネの問題を受けて党として改革案を出している。

立憲の改革案も素晴らしいと思うが、アイデアが素晴らしいだけでいいのか。前回政権交代した時に何も実現できなかったのではないか。日本維新の会もアイデア素晴らしい。政権取っていなくても実践できることがある。

私も今回のチャレンジで政治団体を設立した。自民党の裏金問題、秘書や派閥の事務職員が責任をとった。政治家自身は責任をとらずにいまも議員を続けている。日本維新の会は政治家自身が会計責任者、絶対に起こりえないと思うが、日本維新の会で裏金問題が発覚すれば議員自らが責任をとる。それぐらい正々堂々と政治とカネについて、政治家が責任をとるという覚悟を示している。これは法改正を待たずにすぐにできる なぜ立憲民主党はしないのか。国会議員には旧文通費という、現金で支給されるお金が毎月100万円ある。使い道を報告する義務はないので、いままで議員は自由に使ってきた。政治活動に使っていると言うが、どこまでが政治活動か。そういう決まりもない。

日本維新の会は、不透明なお金があるからこそ、国民が政治に対して不信を抱くんだと有権者・納税者目線で考える。旧文通費と言われる毎月100万円もらえるお金も、使い道を公開しているのは日本維新の会。他の政党もやろうと思えばできる。改革案に旧文通費の使い道を公開すると言っている。でもやらない。やっているのは日本維新の会。本当の政治改革ができるのがどこか、長崎3区の皆様にも訴えるが、補欠選挙を通じて長崎から日本中に改革が進められるのはどの政党か力強く訴えていく。

日本維新の会こそが本当に有権者のためになる納税者のためになる日本の改革を実行できるんだと、その先頭に立つんだということを期間中しっかりと訴えていく、この思いに賛同いただける方の一人でも多くの方に日本維新の会の改革への覚悟を伝えたい。

2024年4月15日時点の選挙人名簿登録者数は23万2223人。衆議院長崎3区補欠選挙の投開票は4月28日に行われる。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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