世界トップクラスのホテルを全国50カ所に新設

12月7日、菅官房長官が行った驚きの発表が話題にのぼっている。

菅官房長官:
今後、各地に世界レベルのホテルを50カ所程度新設することを目指している。

外国人観光客の増加に伴い、世界トップクラスのホテルを全国50カ所に新設するという。

実は、日本には富裕層が満足できるトップクラスのホテルの数が、世界の他の観光地に比べて少ないとの指摘がある。

アメリカからの宿泊客:
東京に来る人数を考えても高級ホテルが少ないことに驚いています。

そこで今回の「ニュースのミカタ」は世界レベルのホテル50カ所新設と受け入れる観光地側の問題点について調べる。

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2019年5月に来日したアメリカのトランプ大統領が宿泊した東京・丸の内の「パレスホテル東京」。
世界のホテルを格付けする「フォーブス・トラベルガイド」で、日系ホテルとして初めて5つ星を獲得するなど、名実ともに世界トップクラスのホテルだ。

この5つ星を日本国内で獲得しているのは、「パレスホテル東京」「ザ・ペニンシュラ東京」「マンダリンオリエンタル東京」「ザ・リッツカールトン京都」「シャングリ・ラホテル東京」のわずか5カ所のみだ。
一方、フランスには13カ所、中国には31カ所、さらにアメリカには78カ所も5つ星ホテルがある。

世界トップクラスのホテルとは…

世界レベルのホテルとはどんなものなのか。
“世界トップクラス”の基準のひとつが、富裕層の宿泊を想定したスイートルームの多さだ。
「パレスホテル東京」には、スイートルームが12室あり、1泊の宿泊費用は約40万円。

さらに、厳しいセキュリティーも“世界トップクラス”の証。
エレベーターは、ルームキーによって宿泊階にしか泊まらないように制御されているという。

アメリカからの宿泊者:
チェックインから部屋の状態まで全てが完璧です。

フランスからの宿泊者:
ただ部屋に泊まるのではなく、その上をいくおもてなしや思いやりの豊かな感性がある。

世界トップクラスのホテルを利用する外国人観光客について専門家は・・・

航空・旅行アナリスト鳥海高太郎氏:
海外からの富裕層というのは我々が考えつかないようなオーダーをしてくる場合があります。
例えば箱根にヘリコプターをチャーターしてくれとか、お金に糸目をつけない方もいます。

日本を訪れる外国人観光客は、2013年には1036万人程度だったのが、2018年は3119万人と3倍以上に増加している。

電車すれすれで写真撮影 観光公害(オーバーツーリズム)とは

そうした中、今、問題となっているのが「観光公害=オーバーツーリズム」というものだ。
観光客の急増で地域の生活環境が悪化する現象のことをいう。

人気漫画の舞台となった神奈川・鎌倉市にある江ノ島電鉄の踏切では、外国人観光客が電車からすれすれの近距離で写真を撮影、一斉に道路に広がっていた。
さらに、外国人観光客は、車道でも道の真ん中で写真撮影をしていた。

こうした事態に、近隣の住人からは苦情が殺到し、2019年4月、鎌倉市は危険な場所での撮影を迷惑行為とし、自粛を促す条例を制定した。

また、バスなどの公共交通機関が混雑し、道路も渋滞。中には外国人も乗車している。住民の足にも影響が出ている。

外国人観光客でにぎわう商店街では、マナー違反とされている食べ歩きや、ごみのポイ捨ても問題になっているという。

全国に拡大 オーバーツーリズム

観光公害=オーバーツーリズムは、今や日本全国に拡大している。

京都市では、地域文化の継承を重要視しない営利目的の宿泊施設が増えたため、ホテルの新規開業に“待った”をかける宣言が出された。

北海道のニセコでは外国人が次々と別荘を建て、住宅地の地価の上昇率が全国1位に。
賃料が急騰し地域の住人が追いやられる事態にまで発展している。

オーバーツーリズムを防ぐには…

こうしたオーバーツーリズムを防ぐためにできることについて専門家は…

航空・旅行アナリスト鳥海高太郎氏:
観光地は午前中の方が空いている傾向があるので、例えば観光スポットも営業時間を早めるなど、地元に人が住んでいる人が優先的に利用できるような状況をつくる事により、バスやレストランが利用しやすくする為の取り組みが今後必要になってくると思います。

多くの外国人観光客が日本を訪れるのはよいことだが、働き手が不足して十分なサービスができないという観光地もあるという。
受け入れ側の態勢を整えることも急務といえそうだ。。

(「めざましテレビ」12月9日放送分より)

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