生成AIとは、インターネット上の大量のデータなどから学習した情報をもとに、質問に対する回答を生成してくれる人工知能である。

沖縄県内の企業や自治体では、業務の効率化と生産性の向上にこの生成AIを活用する動きが広がっている。

文書作成・議事録作成などに活用

那覇市役所では2023年12月、生成AIのチャットGPTを沖縄県内の自治体として初めて導入した。

この記事の画像(13枚)

その用途の一つが、市民向けの文書の作成だ。

「まちなみ整備課」では、管理が不十分になっている空き家の持ち主に対して改善を求める文書を作成する際に使用している。

最初に生成AIに対し、市役所の職員になりきるよう入力する。
そのうえで、「厳格な表現を避ける」「200字以内」そして、空き家の具体的な状況などを入力すると、生成AIが与えられた条件をもとに即座に文書の案を作成してくれる。

ただ、聞きなれない言葉や文章がゆらぐケースもあり、職員が手直しして完成させるようにしているが、構成を一からする必要が無くなったため、業務の効率化に繋がっているとのこと。

那覇市 まちなみ整備課 宮城情さん:
最初のスタートダッシュで一度AIに投げ、返ってきたものを修正したり、何パターンか出してもらい、その中から選んでいくといった使い方ができます

このほかにも400人ほどの職員が観光に関連するイベントのアイデア出し、会議の議事録作成や要約など幅広い用途に生成AIを活用している。

アンケートを取った65人のうち25パーセントが1時間以上の業務効率化に繋がったと回答しており、今後は全庁的に活用を広げていく予定だ。

企画調整DX推進室の長嶺伶生さんは、「業務の効率化によって生み出された時間を、更なる別の行政サービスの向上に充てることで、より良い那覇市として進むことができるのではないか」と生成AIの可能性を語った。

採用面接に活かす企業も

「はじめまして。私は工学部、建設学部の3年生で、建設業界に非常に興味があります。どうぞよろしくお願いします」

那覇市の総合建築工事会社『タマキハウジング』では、生成AIに建築業界に興味がある工学部の学生になりきってもらい、就活生が企業を選ぶ際にどんな点を重視しているのかヒントを得て、採用面接に活かしている。

タマキハウジング株式会社 総務部 玉城悠希さん:
(採用において)今いろいろな手法があるので、その手法やトレンドを相談しているところです。人事の戦略的な研修制度の構築や採用などで積極的に外部の説明会を行ったりといった活動の時間を作ることができるので、そういったところに時間を割いていきたいです

また、販売する不動産のキャッチコピーをブラッシュアップしたい時にも生成AIを活用している。

文字数の制限に加え、「より親しみやすい内容に」などといったオーダーにも応えてくれる。

カスタマーサービスの向上にも

続いての導入企業・沖縄セルラーでは、一般的な使い方に加え、生成AIの独自システムを提供することでビジネスチャンスに繋げようとしている。

沖縄セルラー電話 ソリューション営業本部 渡真利光訓さん:
総務や人事が問い合わせを受けて、毎回個別に回答していることをチャットに聞いちゃえば、そこで回答してくれるといういわゆる「チャットボット」みたいな使い方がすごく望まれているし、実際にお客様からの要望の声もあります

チャットボットとは、ロボットが自動的に回答する会話型システムのことだ。

生成AIが組み込まれたチャットボットに社内規則や業務上の資料などを事前に学習させておけば、社員が知りたい情報を瞬時に引き出してくれる。

またこの機能を応用すれば、社外からの問い合わせに対し、24時間いつでも自動で応答ができるようになるため、カスタマーサービスの向上と省力化が図れる。

沖縄セルラー電話 ソリューション営業本部 渡真利光訓さん:
一般的な使い方にプラスアルファで次のステップで使い勝手が良くなると、より生成AIを活用した業務効率化というところが実感いただけるんじゃないかと思っているので、当社の中でもそれを推進したいですし、もっともっと県内の多くの事業者にも紹介をしていきたいです

人手不足や労働生産性の低さが課題となっている沖縄。

生成AIを上手く活用することで、これらの課題を解決しようという企業や自治体の取り組みが進んでいる。

生成AIはゼロの状態から80パーセントぐらいの完成度のものを瞬時に作るような作業が得意で、完成度をより高めるため、最終的には人の手が必要になってくる。

生成AIに得意な分野を任せることで業務を効率化し、そこで生まれた時間をより創造的で成長性の高い分野に投入していくことで企業の成長に繋がっていく。

そして、今回紹介した企業や自治体は、セキュリティ対策を万全にしたうえで生成AIを導入している。

個人情報や企業の機密情報を入力しないことや、生成AIを上手く活用するためのリテラシーも求められる。

(沖縄テレビ)

沖縄テレビ
沖縄テレビ

沖縄の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。