移住したい都道府県で常にトップクラスの人気を誇る長野県。
その長野県には「筑北(ちくほく)村」と呼ばれる村がある。
長野市と松本市、安曇野市、それに上田市という長野県の地方都市に囲まれ、県の真ん中に近い場所にある筑北村。

その形は「ハート」。まさに「ハート」の村なのだ。
この村に、2023年12月、待望の長野自動車道「筑北スマートインターチェンジ(以下、筑北SIC)」が開通し、各地への利便性が格段に向上した。

北アルプスを望み、人の手が入りすぎていない土地や農村風景の残る自然の豊かさと便利さ、それに子育て支援策も充実させ、若い世代の移住に力を入れている筑北村。
SIC開通をきっかけに描く村の姿を、太田守彦村長に聞いた。
村長に聞くSIC開通の狙い

――まずは筑北スマートインターの開通を目指した狙いを聞かせてください。
筑北村を通る長野自動車道は、安曇野ICから下車する麻績(おみ)ICが23キロと、県内で一番長い区間です。
さらに、地理的に山に囲まれ、道路の安全性・利便性の向上という観点から、スマートインターチェンジ(SIC)の開通に向けて村をあげて取り組んできました。
その思いが実現し大変うれしく思っています。

筑北村は、四方を山に囲まれ、北アルプスの美しい山並みも臨める。
役場がある中心地の標高は約650メートルで、冬も雪はあまり降らず、夏は過ごしやすく四季の変化が楽しめ、のどかな農村風景が広がる人口約4000人(2023年12月31日現在)の村だ。
自然、観光、温泉など魅力あふれる筑北
村内にはJR篠ノ井線の駅が3駅あるが、住民の足はなんといっても自動車。
村内を長野自動車道が通っているものの、村内にインターチェンジがなく、決して利便性が良いとは言えなかった。

しかし筑北SICが開通したことで、村役場から松本ICまで15分、長野ICまで23分と、通勤・通学の利便性さはもちろん、各地からのアクセスが格段に向上した。
太田村長は筑北村の魅力をこう語る。
「うちの村の良さはいっぱいあり、村の中に点在しています。例えば、豊かな自然と歴史的な善光寺街道の遺物、それに修那羅(しょなら)峠の石神仏群も非常に魅力があります。
その他、村で取り組んでいる特産品の直売所、それに温泉も非常に人気もありますので、それらの魅力を組み合わせながら発信していきたいと思います」

修那羅峠にある石神仏群は、素朴でユニークな約800基以上の石神仏像・石造物と約160体の木神仏像が祀られている。

また小型フィギュアのガチャも村内3カ所で販売されている。
最近の注目は「坂井いちご園」。

「じゃらんいちご狩りアワード2022」の施設リピート率で甲信越・北陸エリアのグランプリに輝いた。
イチゴの種類の多さや美味しさ、施設を評価する声が多いという。
また村内には、サッカー場や野球場、バドミントン体育館など、高いレベルの競技を展開できる施設もあり、大会開催や温泉宿泊施設を活用した合宿などを通じ交流人口の増大につなげたいとしている。

「体育施設は、夏の合宿シーズンやGWなどは、予約でほぼ埋まっている状況です。
選手たちはもちろん、ご家族にぜひ訪れていただき、筑北村の自然の豊かさを味わってもらい、その良さを発信して頂けるのではと感じています」(太田村長)
移住者支援、子育て支援対策も
2005年の3村合併時、筑北村には6000人余りの人口がいたが、現在は4000人余りに。
人口減少への対策として、交流人口増大をきっかけに、目標とするのは移住の増加だ。

――人口減少という課題解決のために、筑北SICをいかに活用するかがカギになりますね?
筑北SICを起爆剤にして村を発展させていかなければいけません。受け皿として企業を誘致し、働いてもらうために若者向けの住宅を整備していくということが必要なので積極的に取り組んでいます。
企業誘致は、SIC周辺に1社がまもなく稼働します。その他の情報も頂いているので、なるべく1社でも多い企業の誘致を早めに実現していきたいと思っています。

――移住と子育てについての具体的施策はいかがですか?
現在、役場の近くに若者向け定住向け住宅を来年度までに計7棟、新築していく計画です。
また「空き家バンク制度」も非常に好評をいただいています。移住サポート住宅の整備も計画しています。
子育て支援は、本当に大事な問題であり、2024年度から保育園・小学校・中学校の給食費無料化を考えています。
そして保護者の皆さんがいかに働きやすい環境ができるか、いろいろな要望を取り入れながら、子育てしやすい環境を作っていきたいと思っています。
――移住というと就農や起業、手に職を持った人のイメージだが、SIC開通で長野市や松本市、上田市などに通勤するいわゆる「サラリーマン移住」が可能になるのでは?
筑北SICができたことも通勤に関して非常に効果があると思っています。
距離や時間がネックにならないような形で、住んでもらえる環境を村としてもPRしていきたいと思います。


日常生活には、村内にコンビニやホームセンター、食料品を扱うドラッグストアがあり、加えて「直売所」では新鮮な野菜も並ぶ。

大型スーパーまでは、隣の安曇野市まで車でSICを使って約20分。
自然派の暮らしにはちょうどいい生活圏が広がっていると言える。

――村の形が「ハート」で、長野県内でも真ん中に近く、まさに「ハート」の村ですね?
(2005年10月)3つの村が合併し、本城・坂北が片側で、坂井地域がもう一つというような形で、ハートの形になっています。訪れた方々に非常に人情深いという話を聞きます。
私自身、村民の皆さんのおもてなしの気持ちというのは高いと思っていますので、これからも村民の皆さまと共に、村の良さを自信もって、接していければと思います。

――SICの開通は新たな村づくりの玄関が開いたと言えると思いますが、いかがですか?
うちの村は、大きな観光資源があるわけではないですが、村民が一人ひとり輝いて、楽しく健康に暮らしている村だというのを発信し、ここに来て癒して頂き、また良い村だと発信してもらうことが村の発展につながると思います。
<動画を見る>
■筑北村
https://www.vill.chikuhoku.lg.jp/
■ちくほくのひと
http://chikuhoku.jp/interview/
■筑北村おでかけガイド
http://chikuhoku.jp/
■筑北村空き家バンク
https://chikuhoku-akiyabank.jp/
■坂井いちご園
https://www.instagram.com/sakai_ichigo/
■移住施策パンフレット
・ちくほくの『ち』
・ちくほく、もっとシル?